MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

達成の科学(マイケル・ボルダック)

『達成の科学』(マイケル・ボルダック)(〇)

 ビジネスコンサルティングの世界的権威であるブライアン・トレーシー氏から「世界No1目標達成コーチ」とお墨付きを与えられた著者。成功達成法則に関する考え方がとても分かりやすく、受け入れやすいなと思って、目下、追いかけている方です。7歳のときに父親が母親を殺害し、重度の吃音障害に悩まされ養父母の家からも追い出され路上生活を余儀なくされた絶望的な少年時代から、世界的なコーチへ登りつめられた生の経験が説得力を増します。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇この本の一貫した主張

 「思考は原因であり、生み出された状況は思考からもたらされた結果である」という原理原則。

 

〇「願望とはすべての富の始まりである」(ナポレオン・ヒル

・成功のための唯一の必須条件は、「成功への願望」。「願望」は達成の科学を使うための必須条件。

・私たちは「痛み」を避け、「快楽」へ向かう。

 

 

〇痛みと快楽の意味づけが人生を左右する

・痛みは短期的なモチベーションを起こさせる。大きな長期的ゴールに期待する快楽こそが、継続的変化をするための真の解決策。痛みと快楽を理解し、コントロールすることが成功へのカギ。

 

〇良い習慣をつくる秘訣

・痛みの代わりに、ゴールに向かう行動をすることにたくさんの快楽を結び付ける。

・一旦習慣をつくれば、自分の回的領域を広げ続ける限り継続的に成長できる。特定の結果をすぐに得ようとするよりも、規律を守る習慣を確立させる方がより重要。

・最大の間違いは、苦痛を克服することによってしか成功習慣を作ることができないと考えること。

・モチベーションとは出来事ではなく習慣。

 

〇人生を変える方法は一つしかない。基準を上げること。

・基準を上げるとは、Should(~しなければ)をMust(絶対に~する)に変える。

 

〇私たちを突き動かす欲求

①快適さと安心感 ⇔ 恐怖心や不快感

②多様性と楽しみ ⇔ 退屈

③尊敬 ⇔ 力不足感

④つながりと愛 ⇔ 拒絶

⑤成長と成功 ⇔ 失敗

⑥貢献 ⇔ 利己的

⑦生きる者とのとしての完璧な状態 ⇔ 苦しみ

 

インカンテーション(感情を持ったアファメーションや自己開示)

インカンテーションは数あるサクセスツールの中で最もパワフル。

・著者が実践したのは、タイマーを20分間設定してジョギングをしながら、「タイにいる息子と一緒に暮らすために、私は何でもする!タイにいる息子と一緒に暮らすために、私は何でもする!」と繰り返し声に出した。

・たいていの人は1日に約3万回も物事を考え、そのうちの多くの思考はゴールに向かわせるのではなく、ゴールから遠ざける。ある決まった思考を何度も繰り返す傾向があり、そうした思考によって行動が支配される。思考の40%は無意識の習慣。

 

〇長期的視点

①蓄積の法則:スキルの上にスキルが積み上げられて成長する。

②複利の法則:問題は多くの人が短期的視点にフォーカスしている。3カ月~1年で達成できることを高く見積もってしまう。一方、10年間でできることを過小評価する。

 

〇ゴールが的確かどうか判断する「S・M・A・R・Tゴール」

・具体的な(Specific)

・測定可能な(Measurable)

・達成可能な(Attainable)

・期限のある(Time Sensitive)

 

〇ビジョンボード

・人間関係、キャリア・ビジネス、財政面、環境、スピリチュアル、健康面の6視点のイメージ写真とSMARTゴールを一覧にして貼る。

 

〇リミッティング・ビリーフ

・自分の可能性を自ら閉じてしまうような信念・思い込み

・基本の流れ:障害(リソース不足)⇒「これは自分にとって何を意味するのだろう?」⇒「これは痛みなのか快楽なのか?」⇒感情が動く⇒行動に現われる。

 

〇急激な変化(ラピッドチェンジフォーミュラ)を起こす法則

①ワクワクする結果と障害を認識する

②リミッティング・ビリーフを特定する

③即座に大きく感じる痛みをリミッティング・ビリーフと結びつける

④リミッティング・ビリーフを壊して、力を与える信念と置き換える

⑤即座に大きく感じる快楽を、新しい力を与える信念と結びつける

⑥新しい力を与える信念を試す

⑦新しい習慣を作りだす

 

〇効果的なプランを立てる7つのマスターステップ

①究極の欲しい結果から始める

②究極の目的を特定する

③カギとなる成功要因を特定する

④カギとなる成功要因を基に成功への大量行動プランをつくる

⑤タイムラインをつくる

潜在的障害を予測する

⑦プランに対してフィードバックを求める

 

〇ゴール達成するための多くの理由を特定するための質問

①この結果を達成する究極の目的は何か?

②この結果を達成することで何を得られるか?

③この結果を達成した結果、どんな人間になるか?

④この結果を達成することでまわりの人は自分のことをどう思うか?

⑤この結果によって人生の主要分野にどんな影響がもたらされるか?

⑥この結果を達成することで、人生どでんな可能性が解き放たれるか?

 

〇一貫した規律が行動を起こす秘訣

①パフォーマンスの測定

②適切なフィジオロジー(体の使い方)

③ポジティブな内的再表現

④力を与えるビリーフ

⑤ウィークリープラン

⑥デイリープラン

⑦スキルの向上

 

〇著者の成功の定義

・ベストを尽くしたとき

・毎日の決めごと(習慣)を終えたとき

・フィードバックから何かを学んだとき

・ゴールに向かって進捗したとき

・感情をコントロールしたとき

・究極の成功法則を活用したとき

・リミッティング・ビリーフを打ち破ったとき

 

 本書では具体的な進め方や事例も紹介されています。「思考⇒行動」。思考は原因。思考は無意識に動かされている。だから思考を意識的に刺激し、思考を変化させるという流れ。これを習慣化の中で定着させる。実践してみたくなり、変化も期待できる内容でした。

達成の科学――確実にゴールへ導くステップ・バイ・ステップの招待状

達成の科学――確実にゴールへ導くステップ・バイ・ステップの招待状

 

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