著者は、旧通産省出身の衆議院議員で自民党人工知能未来社会経済戦略本部幹事長(2016年8月現在)。本書は、IoT、ロボット、ビッグデータ、人工知能(AI)といった技術革新による第四次産業革命を俯瞰しながら、フィンテックやブロックチェーンと呼ばれる革新的な技術が広がる中で、今後、日本経済、社会が取り組まなければならない課題を浮き彫りにした一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇Iot(Internet of Things)
・あらゆるものがネットワークに接続され、そこから情報を取ったり、遠隔から操作したりできるようになること。
・Iotの対象:あらゆるもの
・Iot化する意味:①遠隔監視、②遠隔制御
・Iotの意義:効率化や利便性の提供、これらを通じた課題解決やビジネスチャンスの創出
・Iotで接続される機器は、2013年の約30億台から2020年には250億台へ増大すると言われている。センサーの数は現時点で数百万個だが、2030年には100兆個に届くほど爆発的に拡大すると言われている。
〇人工知能
・ディープラーニング:人間が学習するのと同様にコンピュータが膨大なデータを処理する過程で自動的にルールや知識を学習する機能を実現するもので、いくつかの迷惑メールの特徴をコンピュータに与えて、分類するといったもの。
・従来の機械学習で課題であった「特徴を見出す」という作業すらコンピュータが自動的に行うことができるようになった。ポイントは、人工知能が「自律的に」学習できるような道が開かれたということ。
〇Iot、ビッグデータ、人工知能で変わりゆく代表的な社会・産業
・自動走行技術によって「移動」が変わる
・カスタマイズ医療・健康サービスによる健康・長寿社会
・スマートハウスが実現する快適・便利な暮らし
・教育もカスタマイズへ
・Iotによるものづくりの変革(効率化)
⇒稼働状況の把握、ニーズの傾向分析・未来予測、製品の保守メンテナンス、廃棄・リサイクルなどのアフターサービス、メーカーの異なる製造装置の連携、かんばん方式のデジタル化など。
・Iotが「食」を支える
⇒農業機械の自動走行、農場の温湿度や日射量・土壌内の温度や水分量・二酸化炭素濃度の可視化、栽培方法が「レシピ」と呼ばれる形で農家間で共有され作物の種類育成状況・栽培環境に合わせた栽培方法の実践など。
〇今後起こり得る潮流
①マスカスタマイゼーション
個人にカスタマイズされた製品・サービスが安価に生み出される世界
②シェアリングエコノミーへの移行
様々な遊休資産がシェアされ、有効活用される
③人間の役割低下
これまで人間でしかできなかった役割が機械により自動化されるようになると、これらを担ってきた人間の役割も変わっていく
〇シェアリングエコノミー
・市場規模は、2013年の約150億ドルから2025年には約3350億ドルへ
・代表的なシェアリングエコノミーサービス
民泊サービス、ライドシェアサービス、空間のシェア(会議室・駐車場等)、空き時間・人手・能力のシェア(家事・買い物代行・介護・保育・知識等)、お金のシェア(クラウドファンディング、ソーシャルレンディング)
〇私たちの仕事がなくなる?
・日本の601種類の職業ごとにコンピュータ技術による代替確率を試算し結果として、10~20年後には日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能であるとされている。
・雇用のボリュームゾーンである中間層においては、求められるスキルの内容が変化する可能性があり、例えば、従来型のバックオフィス業務等は、大きく減少していく可能性が高い。
第四次産業革命やAI関連の書籍を読んでいると、「ホントに自分が生きている間にこんな世の中が来るの?」という夢物語のような気持ちになりますが、過去20~30年を振り返ってみると、あまりにも世の中の動きが急速で変化も大きい。これからも時代の流れとともに人間も変わっていくのだろうけれど、かなり意識的についていかないと、知識もスキルも精神力もついていけなくなってしまいそう。という問題意識があるうちは、まだいい方だなと思います。
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