MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

値上げのためのマーケティング戦略(菅野誠二)

『値上げのためのマーケティング戦略』(菅野誠二)
 売上を伸ばすには?→アイデア不足になり、どうしても価格を下げるという発想に陥りがちなので、何か考えのヒントはないものかと思い購入。

(学びのポイント)
 顧客の「知覚価値を上げる」、「痛みを下げる」の両面から書かれている。
 今回の私の興味は後者。顧客の痛み(ペイン)を引き下げる。

 コストは価格のほかに、スイッチングコスト(購入の手間暇、学習するコスト、心理的な抵抗感など)も重要。
 「顧客のペインを探せ!」はマーケターの愛言葉とか…

 例えばマイクロソフトオフィスなら、プリインストール、ワンパッケージ化、月額使用料などの方法でコストに対する痛みを下げている。他にも、ペインを下げる方法はいろいろ。

 でも、さらに印象に残ったのは、価格決定の悪しき3パターンのくだり。核心部分はここ。この心理的障壁を乗り越えないと、いくら商品価値の向上やペインの除去に工夫しても無駄になってしまう。
 ①自社コストに必要な利潤を加えて決める
 ②自社対競合商品の強弱で調整する
 ③顧客のいいなり
 →この感覚から抜け切れず、非常に市場価値の高い商品であっても、大胆な価格設定には萎縮して踏み込めない。「そんなに高いマージンを設定したことがない」「顧客に気が引ける」「そんなに設けられるはずがない」など…。

 結局、価格を決める側の心理的影響も大きい。

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