MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

フォーカス(アル・ライズ)

 『フォーカス』(アル・ライズ)(〇)
   経営戦略の田村講師お薦め本。

 内容は、「ビジネスはフォーカスをより絞り込んだほうが勝つ」ということを実例をたくさん示して解説しています。
 成長を目指す過程で、あれもこれも手を出すと結局、企業の強みがボヤケ、撤退することになるという指摘がされています。

 授業でも問われていますが、戦略とは「何を捨てるか」を考えること。
 社内外への説明や短期的成長の誘惑から、どうしても売上が伸びる即効性が高い多角化ってやっぱりやりますよね(実際多くの企業がやっている)。

 この点への問題提起がされていて、とても興味深いです
 とても大事な観点に気づかされました。

 内容的に、『マイケルポーターの競争戦略』→『フォーカス』の順に読んで良かったと思います(考え方の流れが理解しやすい)。

(印象に残ったところ)
〇フォーカスが失われるのは、「多角化」と「ライン拡大」。その背景には、短期的思考である、「成長のための成長」がある。

〇自分のポジションを見極めることは、すなわち、自分とかかわりのないものを見極めることでもある。

〇軍隊は呪文のように「前線を絞り深く潜入せよ」と繰り返す。集中は力を生む。分散は力を弱める。

〇フォーカスさえできれば、採用すべき人材、推進すべき研究開発、導入すべき製品が分かる。

〇悪い合併は、市場の拡大を強調する。良い合併は、市場の独占を強調する。合併は、企業のフォーカスを高めるかどうかがポイント。

〇消費者は品質を好み・評判・ブランド・イメージでとらえている。フォーカスは消費者に対する強烈な企業イメージを打ち出す。優位に立てない分野に進出するとこのイメージが損なわれる。

〇「成長は善だ」と信じる限り、フォーカスに向けての試みは却下される。社内外の価値観を説得するところが最大の山場。

 企業買収の買い手の戦略、売り手がその事業を始めた経緯などに着目すると、新聞記事がもっと深く読めそうです

フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法

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