MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

静かなリーダーシップ(ジョセフ・L・バダラッコ)

 今月の自主勉強会の課題図書、『静かなリーダーシップ』(ジョセフ・L・バダラッコ)を読みました。ハーバードビジネススクールのシリーズものです。

 

 普通に読むと、まず最初に「これってリーダーシップ?」と思ってしまう。内容は、セルフマネジメントで仕事をコントロールし、うまく会社に貢献しましょうということが書かれています。

 一般的に言われるリーダーシップを「ヒーロー型リーダーシップ」とし、これに対して「静かなリーダーシップ」という言葉を使っているだけで、他者に影響を及ぼすリーダーシップとは異なります。

 読者の対象層が中間管理職なので、おそらく、マネジメントする側に、必ずしも全員が経営層に求められるようなリーダーシップが必要な訳ではなく、普通の社員に普通に能力を発揮して成果を出してもらうことが必要ですよと伝えたいのではないかと思いました。

 

 

(静かなリーダーシップとは)

・自分の知識や理解を直視する。強い動機で困難を乗り越える。ただし、場面によっては時間を稼ぐこともある。問題を掘り下げて分析し、試しながら少しづつ行動範囲を広げる。必要に応じて規則を曲げる方法を見つけ出して柔軟に対応する。これらは、自分の目的を達成する一連のプロセスである。

・組織のごく普通の人が道義的・倫理的に正しいことをしては、自分の身が危うくなる際に保身を図りつつ、正しいことを成し遂げる処世術

 

 

(勉強会のまとめ)

・会社の階層の中で、皆それぞれが役割を有している。

・いわゆるリーダーシップは、役割に応じて求められるレベルは異なるが、誰もが求められるものである(組織人である以上、何らかの他者への影響力は必ずある)。

・成長の段階として、大きく分けると、①自分の仕事が一人でできない(新人など)→②自分の仕事は自分でできる〈一人前)→③他者への波及効果がある、の3段階がある。

・静かなリーダーシップとは、第二段階‥自分の仕事は自分で回せるレベル。

・会社には、このくらいの年数で一人前になってほしい、このくらいの年数で自分のことだけでなく後輩の面倒を見てほしいという思いがある。これに気づいてもらい、具体的なスキルを習得する機会が研修。

 

 日本人が読むと、普通のサラリーマンのことなんですよね。これが、ちょっと大げさに「静かなリーダーシップ」と呼ばれて書籍になってしまうのは、ハーバードビジネススクールで尖ったリーダーシップ論が教えられていることによる偏りを是正するためのものなのかもしれません。

 入社2年目になれば後輩ができるわけで、「自分の仕事は自分でできる」「仕事を極める」ということだけで満足することなく、他者へ影響を与えられるような人を目指して欲しいですね。せっかく、同じ会社で一緒に働くのだから。

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