『ヤンキー経済』(原田曜平)
著者は、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーで、『さとり世代』の著者としても知られています。
まず、タイトルに食いつきました。この本は、消費者心理に着目したマーケティングの本です。その着目した消費者がヤンキー。
昔のヤンキーと現在のヤンキーは、かなりイメージが違っていることを押さえたうえで、現在のヤンキーの消費心理に迫っています。基本的には、現代の若者であるので、『さとり世代』で書かれていた一般的な若者と生まれ育った時代背景は同じ。これに、ヤンキーらしい特徴が加わった独特の消費者ゾーンを形成している(ニッチ市場?)。彼らの消費者データは殆どないので貴重とのことです。本書では、ヤンキー135人を徹底調査している。
(本書のポイント)
〇ヤンキーの分類(だんだんソフトになってきている)
・ヤンキー1.0:(~80年代)かつての不良。『ビーバップ・ハイスクール』
・ヤンキー2.0:(90~ゼロ年世代)いわゆるヤンキー、チーマー
・ヤンキー3.0:(ゼロ年代後半以降)マイルドヤンキー(昔よりマイルド)
〇マイルドヤンキーの傾向
・徹底した地元志向。上京の意思はない。
・地元の友達が生活の中心。だが別に地元地域が好きなわけではない。
・友達は限定されており、積極的に広げようとしない。
・地元の範囲は異常に狭い(小中学校の友達中心のため)。
・基本は消費意欲は減退し、見栄えやメンツにこだわることは減少。
・夢の国はイオン。1日遊べる。
・アニメは好き(この点、対角線上にいるオタクとの共通点あり。不思議‥)。
・キャラクター好きは伝統。
・EXILEがてっぱんの人気。女性なら西野カナ、安室奈美恵、浜崎あゆみ。
・高級ブランドは大好き。
・車は友達と過ごす快適空間、だから狭いセダンよりも広い大型ミニバン
〇マイルドヤンキーに好まれそうなものは‥
・恥ずかしくない子供服(ブランドものなど)。家族は何より大事。
・ファミリーユースの大型ミニバン。ベース車の装備は最低限。自分で好きな部品をアレンジできるのが良い。
・親子おそろいの、ニコイチ、サンコイチ高級ブランド
・車の高級チャイルドシート
・子供同伴を想定したパック旅行
・一軒家(郊外・地方はマンションはダメ)。これが最終形。
などなど‥その他多数紹介されている。
消費者心理を考えることはマーケティングの第一歩。想定する消費者像を固定観念にとらわれずに考える意味で、こうした個性派を知っておくことも役に立つのではないでしょうか。