『行動分析学マネジメント』(舞田竜宣、杉山尚子)(〇)
組織行動とリーダーシップ(OBH)の舞田先生の著書です。
架空の企業を物語風にして、間に解説が入るという構成で、上司が部下に対し具体的にどのように声をかけるか、どのようにかかわるのかという点が、まさに具体的な行動として示されています。
『MBB思いのマネジメント実践ハンドブック』、『社員が惚れる会社のつくり方』hは会社全体を考える視点で勉強になりましたが、今回は、1対1の関係で取るべき行動が明確になりました。
(本書のポイント→こういう行動を意識すると、指導効果が高まる)
〇60秒ルール:褒める、叱るなどの行為は、対象となる行動直後に行わないと効果がなくなる→行動前よりも行動直後に相手に何を(どんな言葉を)返すかが重要
〇好子(こうし):相手の行動を増やす・強化する効果がある言葉・行動
→(例)うなずき、笑顔で返す、「そうですね!(肯定)」
〇嫌子(けんし):相手の行動を減らす・弱める効果がある言葉・行動
→(例)睨む、嫌味を言う、皮肉を言う
〇好子・嫌子の使い分け:問題解決プロセスと関連が深い。
まず、問題を発見する→次に、問題に関与する行動を特定する(行動や言動の何を変えないといけないのか?)→そして、どの行動を強化(又は弱化)させればよいかを突き止める。
対応パターンは、①好子を増やす(例:褒めて育てる)、②好子を減らす(例:批判的な部相手に同調しない)、③嫌子を増やす(例:注意喚起する、抑制する)、④嫌子を減らす(例:相手を締め付けない、萎縮させない)の4つ。
〇シェイピング:細かな中間目標を設定することで、できないことを段階的にできるようにする。一段階段を上がれば、それ以下の行動を褒めてはいけない。褒めるレベルをだんだん引き上げていく。
〇チェイニング:最初から手順通りにさせるだけではなく、手順の最後をさせてみてゴールの状態を見せてから、手順を戻ってやってみる。例えば、先に契約手続きをさせてから、次に営業活動に取り組ませる(何を勘所に営業すればよいかが分かる)。
文章で伝えにくいところもありますが、本書で事例を読みながらイメージするととても分かりやすいと思いました。
人と向き合うことを考える際に、具体的な言葉の選び方や態度に気を付けないといけないことに気づかされます。
とりわけ、「好子」「嫌子」という馴染の薄い言葉ですが、「肯定的な言葉」「否定的な言葉」と考えて、これを「増やす」か、「減らす」か。この2×2の4種類の使い分けを意識するだけで、人(特に部下)とのかかわり方が変わってくると思います。早速、実践してみます。