『リーダーに大切な「自分の軸」をつくる言葉』(田口佳史)(〇)
東洋思想研究家の著者が、『論語』、『言志四録』、『孫子』などから有益な言葉を引用して、現代のリーダーに向けたメッセージとしてまとめたものです。
著者が「やがてあなたの肚が決まる座右の銘となるでしょう」と、語っているように、自分なりに感じ、解釈し、実行していく支えになりそうな言葉が満載です。
(本書で印象に残った言葉)
〇志があってこそ学びが生きる(言志四録)
立派なリーダーを目指すなら、原点に返ってまずは志をしっかりと胸に刻むこと。そのうえで本を読んだり、経験を積んだりすれば、知識ばかりでなく、人格も高まる。
〇強みが弱みとなる危険(孫子)
一見リーダーとして優れた資質であっても、偏重すると弱点になる。
〇志があれば嫌なことは起こらない(言志四録)
志は鋭利な刃物のようなもの。邪念・邪気を追い払う。志を失うことは、刃物の切れ味を鈍らせるようなもの。
〇地位にふさわしい実力をつける(論語)
「ふさわしい実力が備わっているか」と自分自身に問いかける。その自省があれば、努力の方向性を間違えることはない。
〇まず実行。報酬は後から付いてくる(論語)
報酬をもらって仕事をするのか。仕事をして報酬をもらうのか。その意識の差はとても大きい。報酬ありきは、時間を切り売りするような働き方になる。実行ありきは、高い志に従い、よりよい仕事をするようになる。
知識・理論と実践を融合させることを心掛けると、リーダーに必要な判断力は自ずと磨かれる。
〇判断に迷わないために(言志四録)
若い時にどれだけ多くを学び、経験したか。判断力の決め手は、知識と経験の差なのである。
〇能力よりも長所を生かすことを考える(西郷南洲翁遺訓)
凡人を集めて非凡なことをすることがマネジメント。ただし、小才な人は経営の根幹に配置してはいけない。
〇自分に起こるすべての原因は自分にある(論語)
あらゆることが自分が原因で起きていると受け止めたとき、人間は初めて自由になれる。毎日何度でも自らの心を省みて、良くないところを直しながら自由を獲得して生きてほしい。
〇誰にでも学ぶところはある(論語)
出会う人すべてから何かを学び吸収しよう。そういう姿勢がリーダーを大きくする。
この本に書かれた言葉の一つひとつは基本的に自分を律するものです。おそらく、10年前に読んでいたらそれほど刺さらなかったかもしれない言葉も、様々な経験を積むことによって実感を持って読むことができると思います。そういう意味で、またしばらく時間をおいて、読んでみようと思いました。
リーダーは、何も管理職だけではない。1人でも自分についてくる人がいれば、それはリーダー。あらゆる人がリーダーたりえる。