MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

二十一世紀に生きる君たちへ(司馬遼太郎)

 『二十一世紀に生きる君たちへ』(司馬遼太郎

 歴史から学び、後世に伝えていきたいこと。小学生の教科書に収録された2つのエッセイです。子どもたちに託されたメッセージは、2作品あわせても、わずか数十ページですが、大人が読んでもとても考えさせられるものがあります。

 私にとっても、組織行動とリーダーシップ(OBH)、リーダーシップ開発と倫理観(LEV)での学びとつながるところがありました。

 

(本書で印象に残ったところ‥本書より抜粋)

〇「二十一世紀に生きる君たちへ」(小学国語六年下)

・昔も今も未来も自然は不変の価値である。人間は自分で生きているのではなく、大きな存在(自然)によって生かされている。この考えは、近代に入って少し揺らいだが、近ごろ再びこの良き思想を取り戻しつつある。この自然への素直な態度こそ二十一世紀への希望であり、君たちへの期待でもある。

 

・自己の確立ー自分厳しく、相手に優しく。自己を中心においてはいけない。人間は助け合って生きている。「人」という文字は、斜めの画が互いに支え合って構成されている。社会は支えあう仕組み。自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようには作られていない。

 

・「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」はもともと一つの根から出ている。本能ではい。だから訓練して身に付けなければならない。この根っこの感情が自己の中でしっかり根付いていけば、多民族へのいたわりという気持ちも湧き出てくる。そして、二十一世紀は人類が仲良く暮らせる時代になるに違いない。

 

〇「洪庵のたいまつ」(小学国語五年下)〔江戸時代末期の医師 緒方洪庵

・洪庵は病弱である自分が歯がゆかった。しかし、人間は人並みでない部分を持つということは素晴らしいこと。そのことが物事を考えるバネになる。洪庵も人間ついて、健康であったりなかったり、病気をする原因、人体の仕組みについて考えた。それが蘭学を学ぶきっかけになった。

 

・洪庵は、自分の恩師たちから引き継いだたいまつの火をより一層大きくした人であった。かれの偉大さは、自分の火を弟子たちの一人ひとりに移し続けたことである。弟子たちのたいまつの火は、後にそれぞれの分野で赤々と輝いた。日本の近代を照らす大きな明かりとなった。後世のわたしたちは、洪庵に感謝しなければならない。

 

 自然や人に対しては「謙虚な姿勢」、自分に対しては「厳しく律する姿勢」。

 自分が何を得られたのかではなく、人に何を残したのか‥。

 とても深いです‥。

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