『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』(岩佐大輝)
「あすか会議」(グロービス経営大学院のビジネスカンファレンス)に登壇される岩佐さんの書籍を読んでみました。
岩佐さんは、同大学院の卒業生。ITコンサルティングを主業とされていましたが、東日本大震災後に故郷の宮城県山元町でイチゴビジネスに構造変革を起こし、地域をブランド化。一粒1,000円で売れる「ミガキイチゴ」を開発し、2012年にはインド進出も果たされています。
本書は、イチゴビジネスを始めるきっかけ~ミガキイチゴを商品化するまでの経験談が描かれています。随所にグロービスでの学びが記載されており、学びとビジネスの接点も垣間見れます。
(本書で印象に残ったところ‥本書より)
〇なぜイチゴだったのか?
震災直後に故郷の山元町のために何ができるかを考えたとき、①山元町にはイチゴ農家が多い、②市場規模が大きい(1800億円)、③市場が成長している、④景気の影響をうけにくい、⑤日本人が一番好きなフルーツ
〇ノウハウがないところからのスタートに必要なこと
とにかくしつこいくらい聞きまくる。イチゴ作りに必要な資材やノウハウを一つひとつノートに書き出していったが、こうした当たり前のことが、意外に形式知化されていない。
〇プロに話を聞くにあたって
その分野のセミプロくらい勉強してから行くこと。10を知っているプロでも、1しか知らない人には3くらいしか教えない。7くらい知っている人には9くらいは教えてくれる。それがプロに会うための準備。
〇岩佐さんが考える成功の法則
「さっさとやれ」。やるかやらないかで勝負の99%は決まる。さっさとやって、さっさと失敗し、改善することが何よりも重要(超高速フィードバク作戦)。PDCAサイクルを回せば、それだけ成功に近づく。最初から完璧を求めないこと。7割くらいの準備でスタートするのがちょうどよい。いつまでも、「あ~でもない、こうでもない」と事業計画を立てていたのでは、死ぬまで起業できない。
〇説明責任
スピードを重視した経営を行っているが、銀行や投資家に対する説明責任こそが、実はスピード経営を支える重要な部分である。
説明責任の3つのポイント。
①その仕事が儲かるか
②潰れないか
③社会的意義があるか
〇ポジションを取る
やっかみを受けるくらいのことをやらないと、新しい文化はもたらせない。大事なことはポジションを取ること。極みを取ること。自らを敢えて批判にさらす。それによって自分の考えを研ぎ澄ませ、人間力を鍛える。マイナスのことを耳にするのは心が痛むので、鈍感力を身に付けることも大切。
〇インド進出にあたって
新しい国に入るときは、7割スタートではなく、3割スタートで良い。特に新興国の変化は凄まじい。調査なんて悠長にしていたら調査終了時には調査内容が古くなる。スピードと品質はトレードオフではない、スピードこそが高い品質を作る絶対条件。
7割スタートでよいから、さっさとやる。やるかやらないかで99%で決まる。確かに、スタートしてしまえば、目の前の問題に全力で取り組んで、それを何とか解決していくうちに、軌道に乗っていくのかもしれない。
が、言うは易し。スタートするときに、不安感よりもやりたいことが勝る気持ち。この境地に至り、行動を起こせる方は、やはりスゴイと思う。