MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

やってのける(ハイディ・グラント・ハルバーソン)

 『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン)

 5月の自主勉強会の課題図書で使用しました。
 本書は、米国心理学会でモチベーションと目標達成の分野の第一人者である著者が、目標達成の原則、最適な目標設定について記載したものです。

(本書のポイント)...
〇重要なのは、「何をすべきかを知らないために失敗する」のではなく、「何をすべきかを知っていながら失敗する」人がほとんどだという点。

〇人は求められた以上のことはしない。だから、ゴールの設定の仕方が重要になる。
 具体的で難易度の高い目標は、成功と満足感の好循環を作り出す要素。

〇「なぜ」を考えるとやる気が出る
・日々の小さな行動にも意義を感じやすくなる。

〇「何」を考えると難しい行動ができる
・何をすべきかを意識することで、人は具体的な行動に着手しやすくなり、目標に向かってまっすぐに進めるようになる。理由ばかりを考えていると、実行に移せない。

〇認められたい「証明型」
 高いパフォーマンスを発揮しやすい。一方、わずかなつまずきで、簡単に落ち込んでしまい、パフォーマンスが低調になってしまう。
 対象が比較的簡単であると、証明型の目標はパフォーマンスとモチベーションを向上させる効果がある。

〇成長を望む「習得型」
 優れた存在を証明しようとするのではなく、優れた存在になることを重視する。
 難しい局面に直面しても証明型よりも落ち込みにくい。成功の見込みが薄くなっても学びや成長は続けられるので、モチベーションを維持しやすい。

〇正しいことをするときに賞賛や愛情を与える「獲得型」
 愛情と承認を得ることを目標とする

〇悪いことをすると罰する「防御型」
 損失を避け、悪いことが起きないようにすることを目標とする

〇計画を作る
・「準備を怠ることは、失敗するための準備をするようなものだ」(ベンジャミン・フランクリン
・効果的な計画:何を、いつ、どこで、どのように実行するかを具体化する
・条件と行動を直結させる。
 「〇〇のときは〇〇する」「もし〇〇したら〇〇する」という条件型計画を作るようにすると、次にとるべき行動をはっきり自覚することなく、自動的に生じる。(例:日曜日に夕食を終えたら電話をする、平日の夜は2時間以上勉強する)
・障害物を明らかにする

〇脳内の無意識の防御本能を越える
・問題のほとんどは、実行そのものにある。足りないのは「行動」。
 

 当たり前に感じることが、いたってシンプルに書かれていました。でも実行は難しい‥。このあたり、学者の方の書籍特有のものがあると思います。
 「条件型計画」という言葉は初めて知りましたが、これはおもしろい発想ですね。意識していると役立ちそう。
 
 証明型⇔習得型、獲得型⇔防御型。同じ人でも両面を持っていると思います。うまく考え方を使い分けることができれば、ストレスを減らしつつ、気持ちを前向きに持って行ける要素になるかなと思いました。
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