MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

カモメになったペンギン(ジョン・P・コッター他)

 『カモメになったペンギン』(ジョン・P・コッター他)(〇)
 先月の自主勉強会で使用した課題図書です。

 組織変革に成功したペンギンの物語を通じて、変革に必要なリーダーシップを考えることができる、とても読みやすい一冊です。

 物語は、氷山が溶けて始めており、将来、居住地が無くなってしまうかもしれないことに気づいた主人公のペンギンがコロニー(群れ)に移住を促すが、「そんなはずはない」という抵抗勢力が立ちはだかる。それでも、仲間を巻き込みながら、コロニーのメンバーの心を動かし、生き残るために、大移動を決意させる‥。

 

 リーダーシップにはいろいろな形があります。それとともに、組織変革へのかかわり方もいろいろな形があると思います。

 本書では、主人公を含めて5匹のペンギンが組織を変革していきますが、性格はいろいろ。本書を読んでいると、いろいろなタイプでチームを組成し、役割発揮することがチーム力を高め、それが組織を大きく動かす力の源になるのではないかと感じました。

 

(本書のポイント‥本書より抜粋)

〇変革を成功させる8段階のプロセス

 本物語は、このステップで変革を進めています。

①危機意識を高める

 →困難な問題に対して、コロニー全体の危機意識を高めた

②変革推進チームをつくる

 →メンバーを慎重に選んだ

③変革のビジョンと戦略を立てる

 →よりよい未来に向け、適切なビジョンを打ち出した

④変革のビジョンを周知徹底する

 →ビジョンをコロニーのみんなが受け入れられるように伝えた

⑤行動しやすい環境を整える

 →実践的な方法でできるだけ多くの障害物を取り除いた

⑥短期的な成果を生む

 →早い時期にいくつかの成果をあげた

⑦さらに変革を進める

 →新しい生活がしっかりと確立するまでは変革の手を緩めなかった

⑧新しい文化を築く

 →凝り固まった古い因習から変革を実現させる力は決して生まれない

 

〇考え方を変えると行動が変わる →良い結果が引き出される

 ・データの収集・分析と論理的説明

 

〇感じ方を変えると行動も大きく変わる →もっと良い結果が引き出される

 ・驚きや感動の経験を目に見える形で周りの人に伝える

 

〇(訳者あとがき<杉並区立和田中学校校長の藤原和博さん>)

 つくづく思う、最初の5人が肝心だと。(中略)さぁ、読者の皆さんも現状を変えるすべての努力を、一人ぽっちではなく、4人の仲間を募って実行しよう。あなた自身が「最初の5人」になるのだ。この本は、あなたに、その偉大な一歩を踏み出させてくれるバイブルである。

 

〇(物語の締めくくり)ご想像どおり、二度目の移動の準備は、最初のときほどの衝撃はなかった‥。

  

 物語の締めくくりを読んだとき、組織行動とリーダーシップ(OBH)の授業で「大きな石の球を動かすイメージ」と教わった話を思い出しました。最後にそのお話を紹介します。

  会社は大きな石の球のようなもの。最初は一人で押しても全く動かない。何人か集まって、思いっきり力を入れて、ようやく球はじりっと動き始める。動き始めると、最初のように力を入れなくても、球は転がり始める‥。そして、球は転がり続け、やがて、球を転がすのにほとんど力は必要がなくなり、止めたくても止まらないほど転がり続ける。こうなると、変革は組織に定着したと言ってよい。

カモメになったペンギン

カモメになったペンギン

 

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