『駆け出しマネジャーの成長論』(中原淳)
担当者から管理職へ‥。新任マネジャー向けに、その役割と困難に直面した際の心の持ち方が書かれた書籍です。著者は人材育成に関する著書を多数執筆されている東大の准教授の方で、実務家ではなく学者の観点から書かれています。
(本書で印象に残ったところ‥本書より)
〇新任・駆け出しマネジャーがまず知っておくこと
「マネジャーがどんな存在なのかを知ること」「マネジャーが実務担当者とは異なることを理解すること」
〇マネジャーとは、他者を通じて物事を成し遂げること
自分がエキスパートして仕事をなすことではなく、エキスパートしての自分のあり方を一部棄ててでも、自分以外の人に仕事をさせる(任せる)こと
〇マネジャーになるプロセスとは、「仕事のスターから管理の初心者に生まれ変わること」
マネジャーが経験しなければならない学びは、①実務担当者時代の未経験分野を新規に学びなおすこと、②実務担当者時代に身に付けた知識やスキルをマネジャー用に変更すること
〇マネジャーの挑戦課題
①部下育成
マネジャーは、「面=職場」をつくることに最も影響力を持っている。
②目標咀嚼
マネジャーは翻訳機。誰もが理解できる言葉で目標を示し、部下のモチベーションと行動を引き出す。
③政治交渉
いざというとき相談できる日常的な関係構築。他部門を巻き込まなくてはならなくなってから巻き込んでも遅い。
④多様な人材活用
仕事の位置づけ・意味付けとマネジャーからの直接の目配り・気配り
⑤意思決定
マネジャーはいつもグレーな問題と格闘する。多様な視点からメリットとリスクを計算して判断をくだすしかない。「迅速な意思決定ができる」ことと、「いつも考えている」ことは同義。
⑥マインド維持
助言・指導をもらえるネットワーク作りとメンテナンス。ネットワークは自ら作りだすもの。
⑦プレマネバランス
自分の時間の見直し。①自分がやりたいこと、②自分がやらねばならないこと、③自分がサポートすれば他人に任せることができるもの、④自分のサポートなしで他人に任せることができるもの
気が付けば管理職を6年もやっており、本書に書かれている担当者から管理職への役割チェンジは、すでに懐かしい思い出。役割チェンジさえできれば、7つの挑戦課題のように、「これは、永遠に続く課題だなぁ」と思うことがほとんどです(そのほとんどは、人に関するものです)。決して、正解があるわけではありませんが、次第にセオリーや自分なりのスタイルができてきて、管理職間で個性や能力差が生まれます。
管理職として成長していくためには、やはり、「考え、行動し、学ぶこと」を積み重ねていくことが大切ですね。