MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

100年予測(ジョージ・フリードマン)

 『100年予測』(ジョージ・フリードマン)(〇)

 紀伊国屋の推薦図書に置いてあったのを何気なく買ったのですが、これが実に面白く、他の本は一時休止して一気に読みました。

 地政学(地理的位置関係を重視した考え方)をベースにした予測で、過去からの流れを踏まえた2030年代あたりまでの解説が特に面白く、これまでにない着想で今後の世界の動きに注目できそうです。

 

(本書で印象に残ったところ‥本書より)

〇21世紀はアメリカの行動を抑え込むために同盟を形成しようとする第2勢力とアメリカの間に幾多の衝突が起こる。だが、技術変化と世界の直面する地政学的課題の性質ゆえに、戦争の被害はずっと小さく抑えられる。

 

〇宇宙で発電した電力をマイクロ波に変換して地上に送信するという、戦争前に開発された構想が来る世界大戦中に実用化へ一気に移行する。

 

〇先進工業国は人口破綻のせいで深刻な労働力不足に悩まされる。現在の先進国は移民をいかに締め出すかに悩んでいるが、21世紀中ごろに近づくと、移民をいかに誘致するかが問題になる。

 

〇世界で最も重大な意味を持つ統計は、出生率の低下である。乳児死亡率の低下、平均余命の延長、教育期間の長期化(かつて子供は農作業を手伝うなど経済的に役立つ存在だったが、今は教育期間の長期化により、子供を育てるためにお金がかかる存在になった)により人口増加は終わらざるを得なかった。

 

〇今後数十年で力を蓄え自己主張する国

①日本:深刻な人口問題を抱えながら移民受け入れに難色を示しすため、他国の労働力に活路を見出さなくをえなくなる。

②トルコ:歴史上の主要なイスラム帝国はすべてトルコ人によって支配されていた(わずか100年前まで、世界最強のイスラム国家であった)。世界17位の経済規模で経済力と軍事力は地域最強。米国の国益に挑戦しないため、米国の脅威に絶えずさらされずに済むことは重要。

ポーランド:ドイツ人口の著しい減少と対ロシア牽制のためアメリカが莫大な経済、技術支援を通してポーランドを支援する。

上記にアメリカを加えた4カ国が21世紀に大きな影響を及ぼす。

 

〇アメリカ:大西洋と太平洋に挟まれた立地が強国の源泉。かつて、大西洋を制するものが世界を制したが、1980年代に太平洋貿易が大西洋貿易に並び、90年代には太平洋貿易が大西洋貿易の1.5倍になった。米国海軍は世界の海洋を支配している。米国衛星の監視を逃れて航行することはできない。アメリカに海上で挑戦できる資力を持つ国は中国と日本しかない。アメリカのユーラシアに対する基本方針は、ユーラシアを支配するような強国の出現を阻止すること。

 

〇中国:本質的には不安定。沿岸部は豊かだが内陸部は貧困のまま。このことが、緊張、対立、不安定をもたらす。

 

〇ロシア:今後10年間、ますます豊かになるが、地理学的には不安定な状況に陥る。輸出資源で得た経済力を背景に自らの権益と緩衝地帯を、他国から守れるだけの十分な軍事力を構築する。

 

〇ロシアの西方のどこに線を引くかという問題は、まだ答えがでない過去100年にわたるヨーロッパの主要課題。 ウクライナベラルーシがロシアの生命線。東欧諸国はロシアの復活を阻止したいと考えているが、本当に考えなくてはならない問題はドイツの行動。

 

 全ての観点は書ききれませんが、興味深い未来像が多数記載されています。確かに未来がどうなるかはわかりませんが、いつの時代も大きな歴史の流れの中にいることは間違いなく、各国の動きがどういう狙いでどこに向かって進んでいるのか、自分なりに仮説を持って見てみると、違う世界が見えてくるのではないかと思います。それに対して、一個人、一企業で何ができるかわかりませんが、まずは仮説を持って考えるところから始めてみようと思います。これで、日経の国際欄を読む興味が湧いてきました。

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