『マネジメント(上)』(P.F.ドラッカー)(〇)<3回目>
久しぶりに読み返しました。読み応え十分。このあと、(中)(下)の2冊があると思うと、なんて濃い内容なんだと思います。私の中で、本書は、ドラッカー作品の中で、『経営者の条件』、『現代の経営(上)(下)』とともに、何度も読み返したい殿堂入りの書籍です。
上中下の3冊の内容は、ざっと以下のように大別されます。
・(上):マネジメントの役割(役割と成果など)
・(中):マネジメントの方法(スキルと組織設計など)
・(下):マネジメントの戦略(多角化、グローバル化戦略など)
(本書で印象に残ったところ‥本書より)
〇マネジメントは、科学ではなく実践である
方向づけを行う、ミッションを決める、目標を定める、資源を動員する。仕事を組織し、働く人に成果をあげさせ、組織が目的とする成果や社会に与えるインパクトに責任を持つ。
〇人事管理を超える
人を問題や費用や脅威として見るのではなく、資源、機会として見ることを学ばなければならない。管理ではなくリードすること、支配ではなく方向付けをすること
〇公的サービスのマネジメントの基本は企業と同じ
本業で成果をあげること、生産的な仕事によって働く人達が成果をあげられるようにすること、事業によるインパクトを処理して社会的貢献を行うこと。公的サービス機関の6つの規律。
①「事業は何か。何であるべきか」を定義する、②明確な目標設定、③優先順位と活動領域の決定、④成果の尺度の決定、⑤成果のフィードバック、⑥目標と成果の照合。
そして、「非生産的な活動を廃棄するシステム」が最も求められる意思決定。
〇成果
利益は目的ではなく結果である。だが、あらゆる意思決定と行動において、経済的な成果を第一に考えなければならない。経済的成果によってのみ、自らの存在と権限を正当化できる。成果のあがる事業であることが繁栄の前提。効率はそのあとの条件。効率とは仕事の仕方であり、成果とは仕事の適切さ。企業の永続こそ、マネジメントにとって決定的な評価基準。
〇企業の目的、ミッション
企業の目的の定義は、顧客の創造。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。他のものはすべてコスト。マーケティングの理想は、販売を不要にすること。
「われわれの顧客はだれか?」の問いこそ、事業の目的とミッションを定義するうえで最初に考えるべき最も重要な問い。
「顧客はどこにいるか」「顧客にとっての価値は何か」も重要な問い。
「われわれの事業は何か」の問いは、企業を外部(顧客・市場)の観点から見て初めて答えられる。当初目標とされたものが達成されたときこそ、「われわれの事業は何か」をとわなければならない。
〇目標間のトレードオフ(3種類のバランス)
「目標と利益」「現在と将来」「異なる目標同士」をバランスさせなければならない。そのためには、目標間のトレードオフが必要。目標間のバランスほど優秀な企業とそうでない企業を分ける公式はない。優先順位が必要。優先順位を付ける公式はないが、優先順位は必要。そのための措置が予算。
1973年に出版された本書。読み継がれる良書は、やはり素晴らしいことを実感しました。
1回目に読んだ7~8年前ときは、当たり前のことが書かれていると感じながら、さらっと読んだ感じでした。しかし、2回目、3回目と、次第にいろいろな場面を思い出しながらじっくり考えて読むようになり、内容の深さを実感しています。その分、時間がかかりますが…。
また、時間を置いて読み返そうと思います。さて、次は中巻に移ります。
- 作者: P.F.ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/12/12
- メディア: 単行本
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