『人生8勝7敗最後に勝てばよい』(尾車浩一)
尾車親方(元大関の琴風)の何度も怪我に泣かされながら大関に昇進した相撲人生と親方になってから負った大怪我から復活されたストーリーです。
親方になってから、風呂場で転倒したことが原因で、頸髄捻挫により、首から下が全身麻痺になるという大怪我に遭われましたが、その後の復活劇を支えた精神的な強さと周囲への感謝の気持ちが、現役時代の心の鍛錬に根差していることが感情豊かに描かれています。
(印象に残ったことば‥本書より)
〇「努力するからいいことがあるのではなく、いいことがあるまで努力するのだ。相撲で頑張るとは勝つまで頑張ること。相撲の世界は必ず毎日半分は負ける。どんなに努力して稽古を積んでも結果はわからない。ただ稽古も努力もしなければ絶対に勝てない」(親方より)
〇「頑張ったから今があるんじゃない、頑張らせてくれた人がいたからこそ、今があるんだ」(引退時)
〇「心・技・体。心も技も体もそろって優秀ってことじゃない。その順番だ。いちばん大切なのは心で、その次が技、そして体という意味。技や体が優れていても、心がダメな者は相撲もダメ」(親方より)
〇「人の心はさまざま。どんな人にも決心を迫られる分岐点が一度や二度は訪れる。そのときに挑戦するのか、あきらめてしまうのか。目標に向けての近道を行くのか、遠回りするのか‥。その判断は難しいのですが、これだけは間違いない。逃げてしまっては、何も結果は得られない」(全身麻痺になって)
〇「親方から「四股を200回!」と言われると、200回踏んだあと、「おふくろのためにあと20回、おばあちゃんのためにもうあと20回」と必ず余分に踏むようにした。そうしないといつまで経っても他の力士と同じレベルにとどまるから。1日10回でも余分に四股を踏めば1年で3650回。おれもやれば良かったと思って大晦日に取り戻そうとしても遅い。1年経てばその差は大変なものになる。それがプロの世界、勝負の世界」(リハビリ中に現役時代を思い出して)
勝負の厳しい世界で過ごされているだけに、ストイックな強い部分もあれば、周りへの感謝や愛情も深く、とてもいい方だなぁと思いました。
自分自身もどこかで挫けそうなときに、思い返せる1冊になりました。