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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

サントリー知られざる研究開発力(秋場良宣)

グロービス経営大学院 テクノロジー企業経営 マーケティングⅡ

 『サントリー知られざる研究開発力』(秋場良宣)

 テクノロジー企業経営の基礎知識習得のため読んでみました。研究開発だけではなく、マーケティングⅡで学んだ顧客接点の要素も大きく盛り込まれています。大学院では講義が分かれていても実際の企業経営では様々な要素が繋がっていることを感じます。

 内容は、「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」「ー196℃」「BOSS」など、サントリーのヒット商品の裏側にある開発物語です。紆余曲折があったストリーが紹介されています。1980年代後半、オールドショックにより危機感を覚えることになったサントリーがどのように反転攻勢にでたのか、そのドラマが垣間見れます。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇オールド独り勝ち時代の終焉(オールドショック)

 「オールド以外に柱となる商品がない切迫した状況。とにかく何にでも挑戦しなければいけないとの思いだった。経営陣が先頭に立って、全社革新、全社をあげてあらゆる業務を見直すこと、新たなことをやらねばらなないとの雰囲気作りを心がけた。創業依頼の企業理念である『やってみなはれ精神』がどれほどのものなのか、その真価が試されているという覚悟だった」(佐治社長<当時、以下同じ>)

伊右衛門

・「2位以上の商品にならないと生き残れない。2位までに入らないと十分な利益が、再投資するための原資が確保できない。3位だと収支トントンで再投資できない」(佐治社長)

・(伊藤園を意識して‥)競合他社ばかり意識したか開発構想になっていて、肝心のお客様が今、どんなお茶を求めているのかという発想が希薄になっていた。他社の商品への対抗を意識した商品である限り、肝心の消費者から大きな共感を得ることはできない。

・「お客様の声をこれほど執拗に聞き出し、それを商品開発に反映させようとする執念には圧倒され、凄味すら感じた」「サントリーさんの命がけの思いがひしひしと伝わってきた」(パートナーの福寿園

〇ー196℃

「ー196℃はすべて生食用果実を使うというもの。しかも、グレードの高い生食用果実を調達してくれと。低価格が売りのチューハイにそんな高いグレードの果実を使うなんて非常識、クレージーだと思いました。それでも調達するようにと譲らない。今までにない鮮度を魅力としてアピールするこだわりに、やるしかないと腹を決めた」(調達開発部)

〇佐治社長インタビューより

・「大型商品はなかなか生まれるものではない。やはり、出した商品をしっかりと育てていくことが大事。そのためには、R&Dだけではなく、営業も宣伝も、トータルの力を結集しなければならない。そうした地道な努力を続けてシェアを少しずつ伸ばしていき、そのうちR&D部門とうまく噛み合った時に、新たなヒット商品が出てくるのだと思う」

・「伸びる人は放っておいても伸びる。宣伝の担い手などは、教育を越えて、個人の生まれ持ったパワーというか、個人の努力というか、あるいは現場をどう体感しているかと、感性を磨いている人は伸びます。教育したからできるということじゃない。だからこそ、私は「外に出て感性を磨け」「机にへばりついては何も生まれないぞ」といっている」

・「「やってみなはれ」の伝統にならって、チャレンジの場を与え、挑戦させると、人はそこで成長もするし、さらに大きなチャレンジをと、心が駆られるはずです。それでまた見ん減の器が大きくなる。そうしたチャレンジングな風土を不断につくっていくことが、官僚主義の侵入に対する最大最強の防波堤になるはず」

 

 佐治社長のコメントと開発に携わる方々の回想録を読むと、風土というものの大切さを感じます。現場で必死にモノづくりに取り組む方々の思いと経営をコントロールする経営者の思いが一致したときに、ものすごいパワーが生まれるのだろうと感じました。

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