『やる!』(唐池恒二)
JR九州の唐池会長の著書です。今年7月に開催されたあすか会議で「ななつ星in九州」開発者の水戸岡鋭治さんとの対談を聞かせていただきました。
「気持ちを前面に出して組織を牽引される方だなぁ」という印象がありましたが、本書を読んでますますその印象が強くなりました。
唐池会長が一番大切にされているのは「気」。気迫の「気」、気力の「気」、勇気や元気の「気」。「気」を集め、「気」を満ち溢れさせれば成功や勝利を手にすることができるという信念が伝わってきます。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇「展望」「ビジョン」
「夢見る力」と呼んでいる。人を元気にするにはどうすればよいか‥トップは夢を語ればよい。夢は人々に力を与える。トップが夢を描いて、夢を抱いて、夢に向かって突き進むと、「気」というエネルギーが企業の中で泉のように湧いてくる。
〇「気」を呼び込む4つの法則
①迅速できびきびとした動き
②明るく元気な声
③スキを見せない緊張感
④常に成長しよう、向上しようという貪欲さ
〇「夢を見る力」を支える3つの行動哲学
①誠実
・嘘偽りやごまかしが無く思いやりのある行動や心の持ち方
・手抜きをしない、手間をかける
→誠実を高める簡単な方法は5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)
→「挨拶なんてどうだっていい」と思えば、その職場は挨拶しない職場になってしまう
→JR九州の相言葉、「あとひと手間、もうひと確認」‥手間をかけることによって新しい価値を生み出すことができ、それが感動に繋がる。
②成長と進化
ブレーキや制約しようとするトップの顔つきや表情、言葉を社員は敏感に察知する。「こういうことを言っては良くないんだ」と考えるようになる。それでは社員は新しいことにチャレンジする意欲はなくなる。そして企業の成長と進化が止まる。
③地域を元気に
「ななつ星in九州」開発の裏話が多数・・。
〇行先の見えない、進むべき方向の見えない集団をどうやって引っ張っていくかというとき、自分がどっちの方向に進むのか、どういうところに行くのか、責任者がどうするのかを明らかにすれば、その人たちの不安はなくなる。
〇一人ひとりの能力を高めること、組織が同じ方向に向かって進むこと、そして能力プラス、それに向かう意欲、やる気を作る。これが人事課長の仕事。
〇気づきの3段階
①お客様の存在に気づく
②お客様の行動に気づく
③お客様の気持ちに気づく
〇サービスで大事なのは、お客様と接したときに笑顔がでることではない。お客様が近づく前に楽しそうな顔つきをすること
鉄道の乗客乗務員は楽しそうな顔、飲食店の店員はおいしそうな顔、これらはお客様を楽しませるために必要な「気づき」。
JR九州フードサービスの社長も務めておられた著者。鉄道業、飲食業の経験から、「気」を作りだし活気に満ちたサービスを作りだすということと、手間をかけ、気配りのできるサービスという2つの側面を大事にされていることが伝わってきました。
「元気」×「気配り」。どちらの「気」が欠けてもサービスは中途半端なものになってしまう。常に本気で全力、一生懸命。組織を牽引する人は、そうでないとね!