MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ピケティ入門 『21世紀の資本』の読み方(竹内三恵子)

 『ピケティ入門 『21世紀の資本』の読み方』(竹信三恵子

 話題の『21世紀の資本』ですが、いきなり700ページ超を読み進めることが、ためらわれたため、まず、エッセンシャル版を読んでみました。

 内容は、ピケティが『21世紀の資本』で伝えようとしたことの解説が約半分、『21世紀の資本』を参考に本書の著者が現在の日本について思うことが約半分です。

 『21世紀の資本』の要約版は、他にも出ているので、要点だけ知りたい方や、概要を押さえたうえで読み初めたい方には良いと思います。

 

(ピケティに関する記載で印象に残ったところ‥本書より)

〇格差は放置すれば拡大する。だから、人為的に力を加えなければ平等な社会の実現は難しい。そのためには、人々の英知を集め、異なる立場を乗り越えて合意を作っていくしか道はない。

〇富と所得のひどい格差は資本主義固有のもの。米国では、全所得の約50%が上位10%の人たちの手に渡っている。

〇ピケティは、仏・英を中心に現在までの約300年間に渡る富の集積の動きを割り出そうとした。その結果、第一次大戦~第二次大戦までとその前後の例外的な時期を除き、格差は一貫して拡大傾向をたどっていると結論づけた。

 →格差が縮まったのは、戦争や大不況という外からのショックがあったからで、外的な力なしでは、格差は拡大し続ける。格差の小さい社会は、18世紀からの300年間の長期トレンドの中では、極めて例外的な60年間のほどの一時期に過ぎない。戦争が終わるととともに資本の蓄積が再び始まり、それが格差として見えるところまで膨らんだのがその効果がきれた1980年代。それ以降、元の軌道に戻り続けている。

〇「資本/所得比率」(β)

 資産の多くが世襲される。(β)が大きくなるとその分、相続が可能な特定の層に手渡されていくことになり、富の偏りが進むことになる

〇資本の収益率(γ)

 国民所得のうち資本の取り分(α)=(γ)×(β)<資本の第一基本法則>

〇貯蓄率と経済成長率

 資本の集積度を左右する重要要素。

 β(資本/所得比率)=s(貯蓄率)/g(経済成長率)<資本の第二基本法則>

 →資本の集積度は、貯蓄率が高まると高まり、経済成長率が高まると低くなる。逆に、貯蓄率が低くなると低くなり、経済成長率が低くなると高まる。

〇年間億単位の報酬を得る上級役員

 彼らはどんどん自分たちの報酬を上げる。それが可能なのは、業績が経営能力のためかそうでないのかを立証することが難しいことに加え、上級役員の報酬は、役員会議のような小さな会議で決められるため、一部の人を説得すれば昇給可能なため。

〇解決策

累進課税の引き上げ、②世界的資本税(※)、③スキルやテクノロジーを幅広く普及させること、④貧しい国から先進国への移民(国際間格差の是正)

 ※世界的資本税は、国境を越えて資産から負債を引いた純資産に累進課税を課すこと。目的は、ま税収を増やすことより、まず徴税のための調査を通じて、隠し資産となっている見えない富の分布状況を国境の外も含めて正確につかむこと。

 

 アカウンティングⅡの最終回で、尾関講師から、「君たち(グロービス生)はもう経営のことだけでなく、国家レベルのことを考えられるような人にならなければいけない」と、言われたことが心に刺さっています。格差をどのようにとらえて、どういう方向性に持っていけばよいのか、まさに国家レベルの話。

 世界各国という横軸、時間という縦軸で考えたときにどう整理できるか・・。

 2015年、どこかのタイミングで『21世紀の資本』を読んでみようと思います。

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