MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

起業の神様が教える、ビジネスで一番大事なこと(安東邦彦)

 『起業の神様が教える、ビジネスで一番大事なこと』(安東邦彦

 今期、ベンチャーマネジメントを受講していることもあり、起業・ベンチャー分野を読み始めました。

 7万社以上のスモールビジネスをワールドクラスのビジネスへ変革させた、米国の著名コンサルタント、マイケル・E・ガーバー。そのガーバーから直接指導を受けた著者が、ガーバーの指導のエッセンスをとりまとめた内容です。

 うまくいく経営者・うまくいかない経営者を対比しつつ、平易に書かれており、どちらかというと入門編です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇本来の社長の仕事とは、社長の志や人の幸せのためにビジネスを働かせる仕組みを作ること。社長が現場で”職人”として働くことではない。

 自分でなくても売上を上げられる方法、顧客満足を提供できる方法を考え、それを作り上げる工夫を続け、完成するまであきらめないこと。

 

〇ビジネスの中心となる専門知識と経験があれば会社を経験できるという思い込が失敗のもと。

 髪を切る技術があれば美容室を経営できる、税理士資格があれば税理士事務所をけいえいできる、というものではない。

 

〇社長の関心は、①「これから創り出すものは、それを買う人にどのように役立つのだろうか」、②「なぜ、それほど重要なのだろうか」、③「どれだけの期間にわたって、それは重要であり続けるだろうか」

 

〇社長には、3つの人格があり、これを使い分けること

①職人の人格:自ら手を動かし、顧客に喜ばれる

②起業家の人格:ビジョンを描き、挑戦する

③マネジャー:人や資金を管理する

 

〇1万倍の成長

 目標を1万倍して考えると、全く違う発想でビジネスに取り組むことができる。

 例えば、顧客が1人なら1万人を目指す、店舗が1店舗なら1万店を目指す、従業員が1人なら1万人を雇用することをイメージしてみる。

 

〇夢

 ビジネスの成長を通して、成し遂げる「夢」を言語化する。「夢」はパーソナルドリーム(誰かのための夢)でなれければならない。「夢」を成し遂げるために必要な道筋を「ビジョン」として明文化する。

 

顧客満足の追求ではなく、顧客不満足の解消

 中途半端な顧客満足の追求こそが、ビジネスを差別化できない大きな原因の一つ。顧客の不満足の徹底した解消にこそ、個性的なビジネスを発明するヒントが隠されている。

 

〇1人の会社でも組織図を作る

 組織図は人ではなく、機能に注目して作成する。組織図とは、会社が発展するために、どのような機能が必要でどのように組み合わさるべきかを記した、会社をシステム化するためのもの。

 

 日本では、新たに起業したビジネスの30%が1年以内に倒産・廃業。5年後の生存率は50%、10年後の生存率はたった26%・・。MBAを志す方は、「経営すること」について徹底的に考えて事業に取り組んでいらっしゃると思いますが、世の中に目を向ければ、個人で仕事をしている延長線上で法人成りし、社長になっている方もたくさんいらっしゃいます。

 人を雇い、動かし、事業を成すということは、個人で優秀な仕事をすることとは別のスキルが求められ、これは訓練して得ることができるもの。そこに早く気づくかどうかで事業がうまく軌道に乗るかどうかの分かれ道になったりします。そういう方々に気づきを促していくこともMBA生が社会に貢献できることかもしれません。

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