『自分が源泉』(鈴木博)(〇)
リーダーシップの本質を突いた一冊です。
「自分が源泉」とは、自分から物事が始まっているということ。目の前にあるすべての結果を「自分が創ったとしたら」という立場で考え、結果や出来事と向き合って考える大切さが問いかけられています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇自分が創った結果は自分で創りなおせる
これが、「自分が源泉」の持っているパワー。すべての結果を自分が創ったという立場を取ることは、すべての結果への影響力とパワーが自分自身の手元にあるということ。例えば・・・
①あの人は何を言っても聞く耳を持たない。
→あの人に聞いてもらうという結果を私が創り出せていない。
②あなたがそういう言い方をするから私もカッとなってしまう。
→あなたの言葉を聞いて私がカッとしてしまった。
③あれだけ言ったのに、店長はやってくれない
→私が店長がやってくれるという結果を作っていません。
④部長はああいう人だから、結局、うやむやになってしまう。
→私が最後をうやむやにしている。
「だから、どうするか」という発想・行動に繋がっていく。
〇「源泉言葉」「源泉でない言葉」
①『~のせいで』『~された』は、源泉でない言葉。別名、被害者用語。
「私はやりたくなかったのに、やらされた」「あの人のせいでこんなになった」「会議を終えてくれなかったので、遅刻した」
→源泉言葉で言うと、『私が・・・した』。
「私がやりました」「私が源泉で今の自分を創りました」「私が遅刻しました」
②『~できない』は源泉でない言葉。
「タバコを止められない」「素直になれない」
→源泉言葉でいうと、『~しない』
「タバコを止めない」「素直にならない」
③『~だめだ』『~仕方ない』『~どうしようもない』『~無理だ』『~不可能だ』
も源泉でない言葉。
→言葉は偶然ではない。意識の在り方、立場の取り方が、言葉となって表れる。だから、私たちが使っている言葉の観察は、自分の意識の在り方へのとても良いフィードバックになる。結果に源泉言葉を持ち込むことは、リーダーシップの「要」となる。
〇「終了」と「完了」
①終了:物事の処置が終わること
②完了:物事の思いにとらわれていない状態
→過去の出来事、周りの人の自分自身への言動、やりかけの仕事、やらなくてはいけないことをやっていないこと、それらに対し起こる様々な思いに囚われ、多くの時間を費やす。
→「自分が源泉」を生きる第一歩は、囚われている感情や思いを「完了」し、そこから自由になること。「未完了」を「完了」することは、過去のことに使っていたエネルギーを「今ここ」に注ぎ込むことができること。
【質問1】あなたの過去の人生の中で未完了なままのことは何ですか?
【質問2】あなたが毎日の仕事や家庭生活の中で未完了にしがちなことは何ですか?
【質問3】あなたの隠し事は何ですか?
〇人間であるということ
人間は、「生存を守る」ために生きる動物。「生存を守る」ということは、自分の自我を守るということ。自分の自我を守るために、私たちが失敗から学ぶことは、可能性に向かって一歩を踏み出すことではなく、「失敗しないための方法、あり方」。
→「人間である」ことから生じる様々な囚われから自分自身を自由にすること(江戸時代の禅師)。
→完了するには、まず反応している自分に気づくこと。「気づき」が起こらないと、それをそのままにしておくことも、完了することもできない。
〇迷信
「無理だ」「難しい」は迷信かもしれない。迷信は、私達が「それは、迷信だ!」と気づいた瞬間に迷信としての影響力を失う。
【質問1】わが社について、こうなったらいいなと思っていて、心の中のどこかで、「それは無理だろう」と思っていることは何ですか?
【質問2】なぜ無理と思うのか、その理由を2分で話してください。
〇問題は失敗や挫折をしないことではなく、それを経験したとき、どのようそのことと向き合うかということ。
〇ノーム
組織内において暗黙のうちに了解されているルール。この無言のコミットメントが組織の規範となって、組織内の人たちの行動を支配してしまう。
〇未来を生きる
コミットメントの分野では、未来とは「自分が源泉」で創っていくもの。「ビジョンを生きる」第一ステップは、未来日記(未来のある一日の日記)を書くこと。キーワードは、何でも可能だとしたら?。常識に囚われない私たちの「子供の心」の出番。「子供の心」で自由に可能性を膨らませて(例えば)一年後をイメージしてみる。
「自分が源泉」。他責よりも自責。「自分に何かできることはないか」、「自分だったらどうするのか」。確かに、外部環境の影響はあるし、周囲の人々に言いたいこともたくさんあるかもしれないが、それを言っていては、いつまでたっても前進しない。自分だけでなく、周りの人たちも「自分が源泉」だと思って行動できるようになれば、全員がリーダーシップを発揮する強い組織が実現できるんだろうなと感じました。