『スタートアップ・バイブル』(アニス・ウッザマン)
ベンチャーマネジメントの参考図書として読んでみました。
本書は、スタートアップ企業の事例を用いながら、グローバルで活躍するために必要なチーム、プロダクトのつくり方、特許、マーケティング、資金調達、EXIT戦略まで、広く浅く書かれています。
著者がベンチャーキャピタルのCEOであるため、ベンチャーキャピタルがスタートアップ企業のどのような点を見ているのかという観点で読んでみると面白いと思います。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇チーム
・スタートアップを見る上で重要な3つ「チーム・チーム・そしてチーム」
・求める人物について、できるだけ明確な人物像を持つ
・「自分より賢い人間を雇え」(シリコンバレーの格言)
・【投資家の観点】「チームがパッションを持っているか」「エネルギーに満ち溢れているか」「モチベ―ションを高く維持しているか」
〇プロダクト
・優れたプロダクトは明確な問題意識を持っている。
・「どのような問題を解決しようとしているのか」、次いで、「どのように問題を解決しようとしているのか」。逆はない。
・最低限の基本的な機能を実装した段階で、できるだけ早くリリースする。顧客ニーズがあるか確認したうえで、さらに開発を進めていくほうが効率的。最初のインパクトが大事。小さなバグはリリース後に修正できる。
・【投資家の視点】競合他社に関する質問に答えられない時は、「この企業は競合他社に関する調査をあまりやっていないな」という印象を持つ。競合他社のプロダクト、自社のプロダクトの強み、どのように競合他社からシェアを獲得する予定なのかを説明する必要がある。
〇特許
・会社が特許戦略の一環として企業を買収する例が増えている。魅力的な特許を持つスタートアップはEXITにも有利。結果として、資金調達にも有利。
〇マーケティング
・ステージごとにマーケティング戦略が異なる。
①シード段階(ブログ、web、友人)、②アーリー段階’(ソーシャルメディア、イベント)、③アドバンス・EXIT段階(広告展開、外部のPR会社)
・【投資家の視点】①シード段階:プロダクトがどのような問題を解決するか、どれほど魅力的で、顧客ニーズ(マーケットサイズ)がどこまで大きいか、②アドバンス段階:海外マーケットへの進出可能性、新機能追加の魅力
〇資金調達
・プレイヤー:①家族・友人、②クラウド・ファンディング、③エンジェル投資家、④インキュベーター、⑤ベンチャー・キャピタル、⑥戦略的提携先
・投資家への接触:①資金調達実績のある起業家からの紹介、②スタートアップ関連のイベント、③ソーシャルメディア(リンクトイン)
・【投資家の視点】
①どのような問題意識を持ち、どのように解決するのか?
②市場規模は? ③チームの強みは何か? ④競合に勝っている点は何か?
⑤現在の状況 ⑥今後の計画
関係者に対し実績で説明できないところにスタートアップの難しさがありますが、ハイリスクであることは関係者も承知のこと。まずは、メンバーを結成し、「勝てる」と思い、思わせるプランを描けるかどうか。アイデア(着眼点)だけではなく、分析力、説明力がものをいう。ゆえに、起業家自身の熱意+能力が問われることになるわけですね。私の場合、そこまでの情熱が湧くものに、まだ出会えていないです・・。