『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン)
本書は、最高のパフォーマンスを発揮するために、本当に大事なことを見極めるという考え方について書かれています。
・「やらなくては」→「やると決める」
・「どれも大事」→「大事なものはめったにない」
・「全部できる」→「何でもできるが、全部はやらない」
というように、基本的には、大胆に切り捨てて、自分の時間とエネルギーを本質的部分に集中するという発想です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇成功のパラドックス
断ることを嫌う風潮の中、優秀な人ほど「成功のパラドックス」に陥る。
①目標をしっかり見定め、成功へ一直線に進む
②成功した結果、頼れる人との評判を得るため、どんどん多様な仕事を振られる。
③やることが増えすぎ、時間とエネルギーが拡散される
④本当にやるべきことができなくなり、方向性を見失ってしまう。
〇エッセンシャル思考の基本的考え方
①選択:時間とエネルギーの使い道を選ぶ
②ノイズ:世の中の大半はノイズ。何が重要か正しく見極める
③トレードオフ:すべてを手に入れるのは無理。どの問題が一番重要かを考える。
〇見極める技術
①何をやるのか?:「すべて」→「正しいこと」
②なぜやるのか?:「他人の期待」→「正しい理由」
③いつやるのか?:「今すぐ」→「正しい時期」
〇捨てる技術
不要なことを捨てるためには、誰かに「ノー」と言えること。
「大多数が重要」→「大多数が不要」
〇考える余裕をつくる
1日2時間でも、1年に2週間でも、毎朝5分でもいいので、忙しい日常から離れ、自分だけでいられる時間を確保する。
本を読む時間の確保。古典は読む者の視野を広げ、時の試練に耐えた本質的な思想に立ち戻らせてくれる。
〇遊びの選択肢
遊びは、本質を探究するのに役立つだけなく、それ自体がどこまでも本質的である。
①遊びは選択肢を広げてくれる。それまで気づかなかった可能性や、思いがけないつながりに気づかせてくれる。
②遊びはストレスを軽減してくれる。
③遊びは脳の高度な機能を活性化する。
〇90点ルール
60~70点くらいの中途半端な選択肢に悩まされないためにも、90点未満はすべて0点と同じと割り切る。
〇「かなり明確」を「完全に明確」に
目的や戦略、個人のキャリアなどについて、「かなり」を「完全に」にすること。「かなり」が不便なことに気づく。「たった一つのことしかできないとしたら、何をするか?」との本質的な問いを立てること。
自分のやるべきことに絞り込むという考え方なので、協調やチームとは対極に位置する考え方。企業で働く立場で考えると、違和感や異論・反論は多数生じそうです。一方、独立志向の方にはしっくりきそうな気がします。あまり他でみない大胆に割り切った発想なので、議論する材料としては、おもしろいと思います。