MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

新規事業立ち上げの教科書(冨田賢)

『新規事業立ち上げの教科書』(冨田賢)

 ベンチャーマネジメントの参考図書として読んでみました。

 本書は、新規ビジネスの立ち上げの中でも、著者の専門分野である事業提携(アライアンス)に重点を置いて書かれています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇アライアンスの5つのメリット

①新しい事業の構築

②提携先の商流活用

③信用や資金の確保

④リスク分散

事業のスピードアップ

 

〇企業規模の組み合わせ

 大企業と中小・ベンチャー企業は、「イノベーション」という意味において、相互補完性の高い組み合わせである。

 

〇機能別の組み合わせ

 強みと弱みが逆の企業の相互補完

①「新事業のネタのある企業」と「ネタはないが資金がある企業」

②「人が余っている企業」と「人が足りない企業」

③「技術開発力(アイデア力)のある企業」と「営業力のある企業」

④「技術力のある企業」と「生産力を持っている企業」

⑤営業先が共通の企業同士の営業先の共同利用

⑥強いエリアが違う企業同士の地域的補完

⑦技術系企業同士の新製品開発の技術補完

 

〇新規事業構築の段階別パターン

①共同開発段階

・研究開発、商品開発の段階から外部と共同で行う

複数の企業の技術を横串で刺す形の製品開発)

大学発ベンチャー

事業展開段階

事業の立ち上げにおいて、足りない機能の部分で外部を活用

・お互いの強みを使って立ち上げる

(新製品開発の各工程ごとに外部の企業とン連携して、機能を組みあわせる)

M&A(買収)してテコ入れ

・ある程度できていて、テコ入れすれば伸びそうな事業を買収する。時間をお金で買う。

 

〇アライアンス・マトリックス

「業界の相違」×「経営資源の相違」の4つのマトリックスで考える

経営資源‥①技術資源、②生産資源、③販売資源、④人材資源、⑤資金資源

 

〇アライアンスの5つのステップ

①自社の強みを見つける

②どのような会社と提携するのが良いのかの戦略を立てる

③提携先を探索し、提携先とミーティングを行う

④提携先と交渉・合意して、協力しながら事業構築を推進する

⑤アライアンスによる新規事業からの収益を享受する

 

〇提携を成功させるために必要なこと

①突破力

 提携はキレイごとだけではない。多少剛腕に力づくでまとめることも必要

②豊富なネットワーク

 ポイントは過去の人脈だけではなく、現在進行形で開拓する

③信頼・信用のある仲介者(紹介者)

 信頼・信用のある人が間を取り持つと双方との信頼関係があるのでスピードアップできる

 

〇新規事業立ち上げは、「お金」×「時間」×「労力」

 アライアンスは、この3要素を補うことができる。

 

 新規事業を軌道に乗せていく際には、「経営資源」と「信頼」の両面でなかなか前に進まないことが考えられます。開発、販売とも、パートナーがいるといないとでは大違い。時間が勝負を分けることも多いので、すべて自分でやろうとは思わず、アライアンスを活用していくことは確かに重要だと思います。自社で抱えるか、社外と連携するか。手段は違えど、やりたいことを成し遂げるゴールは同じ。そのためにも、普段からの人脈は大切ですね。

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