『エンデュアランス』(アルフレッド・ランシング)(〇)
企業家リーダーシップDay1のケースの主人公、アーネスト・シャクルトン(アイルランド出身で後にイギリスに移住した冒険家。南極に4度アタック)。
授業では、極限の状況で、指導力を発揮したシャクルトンからリーダーに必要な資質について学びました。
今からおよそ100年前。3度目のアタックの際に、真冬の南極の海で座礁し、17カ月にも及ぶ漂流生活の末、数々の苦難を乗り越え、28名全員が生還した奇跡の物語があまりにも衝撃的だったので、原作を読んでみました。
(メモ‥小説のため詳細な内容は割愛します)
本書は、著者が執筆時点で生きていた乗組員のほぼ全員へインタビューし、数多くの写真や丹念に書かれた日記をもとに描かており、流氷の上での極限生活、必死に生き抜く中で見えてくる人間の本能、小舟で荒海を渡る恐怖、など奇跡の生還に至る過程がとてもリアルに表現されています。
シャクルトンのリーダーシップでは、「人というものを良く理解してチームをまとめた」、「目標に向けて絶対やりぬく強い意志」や「生きるために必要なことを臨機応変に考える冷静さ」などが印象に残りました。
「なぜリーダーシップを発揮できる資質を身に付けることができたのか」ということを理解するには、シャクルトンの生い立ちや過去の失敗経験など、今回の物語に至る前提を理解したいところですが、本書は第3回の南極アタックに焦点を絞って書かれていますので、そのあたりの情報は別途集める必要があります。
(授業で使用したケースには、そうした前提情報もあわせて書かれていたので、ケースとして秀逸でした)
今回、講義後に本書を読んでみて、どのくらいの極限状態だったのかというリアリティを少しでも感じながら、あらためてリーダーシップについて考えることができ、学びを深めることにつながりました。
(本書表紙より)
シャクルトンは、並外れた勇気と大胆さを持つ男であったが、平凡な日常生活でその力を発揮することは難しく、ときに場違いであり、的外れですらあった。だが、彼には天才といっていいほどのある才能があった。歴史に名を残したほんのひと握りの人物たちに共通するその才能とは、「真のリーダーシップ」だ。
彼の部下の一人の言葉を借りれば、シャクルトンは「この世に生を受けた最も偉大な指導者」だった。彼には盲目的なところをはじめいくつかの欠点があったが、そんなことを打ち消すだけの指導力があった。
(中略)
寒さ、食糧不足、披露、病気・・・。およそ生還は不可能という極限の状況下、たぐいまれなリーダーシップのもと、28人の男たちはいかにして全員生き延びたのか。奇跡のノンフィクション。