『ネルソン・マンデラ 私自身との対話』(ネルソン・マンデラ)
企業家リーダーシップDay2(ネルソン・マンデラ氏)の復習として、読んでみました。本書は、マンデラ氏の手紙や会話、ノート、メモなどの中から270余りが収録されています。収監中、マンデラ氏がどのようなことを考えていたのか、その思いが垣間見れました。
短文の中に刑務所での生活、健康状態なども知ることができるカレンダー日記(12年分から抜粋)をはじめ、いずれもマンデラ氏をより深く理解できる貴重な資料です。
マンデラ氏の著書の中では、本書よりも先に『信念に生きる』を読んだほうが、より理解がしやすいと思います。
(印象に残ったところ‥本書より)
11月7日、面会室に行く途中、偶然あなたが乗ってきた船が優雅に港に入るのが見えました。明るい色が美しい船で、遠くからでも囚人の本当の友人のように見えました。(中略)。船があなたを乗せてゆっくりと遠ざかるにつれて、私は世界で一人っきりになったような気がしました。何年も私をなごませてくれた独房の本たちは、無言で冷淡になったようでした。愛しい人にもう会うことはないのだろうかという問いが、何度も頭の中を駆け巡りました。
〇ティム・マハラジへの手紙から(1971/2/1)
何度も言われてきたことですが、大切なことは何が起こったかということより、それをどのように受け止めるかということです。
〇刑務所からこっそり持ち出し、ダーバンの弁護士に渡された手紙から(1977/1月付)
外部からの手紙の検閲。(中略)。~手紙を書き直すように指示されます。外部から送られた手紙は手紙にどれほど損害が与えられるかをお見せするのに一番よい方法は、あなた自身が実際に視察にいらっしゃることです。妻からの手紙の多くは、つじつまの合わない情報が書かれた細長い紙になってしまっています。
(中略)。面会。面会者1人につき4人、時には6人もの看守を割り当て、面会者に息を吹きかけたり、脅すように凝視したりするのは、露骨な威嚇行為です。(略)
〇リチャード・ステンゲルとの会話から
囚人の闘志にも感銘を受けました。厳しい環境、とくに60年代の厳しい環境では、同志たちはおびえて当局の言いなりになっていたと思いがちです。そんなことはまったくなかったのですよ。最初から堂々と戦いました。戦いを率いた者の中にはほとんど無名の人たちもいました。現在ですらほとんど名前が知られていない人達です。それから、抵抗の精神にも感銘を受けました。刑務所の中においてすら、不正義に抵抗しようとする精神力です。指導者の資質を持つには、たとえどこにいようと不正義に戦いを挑む人間の資質を持つには、学位など必要ないことが分かります。戦いを挑むことができる人間、屈するくらいなら罰を、時には暴行すら受け入れる人間がたくさんいたのです。私たちが収容されていたセクションには、教育を受け、いろいろな本を読み、外国を旅行したりした人々がいました。彼らと話すのは楽しかったです。腰を下ろしてじっくり話をすると、多くのことを学んだ気になりました。
〇カレンダー日記(1979/6/1)
「希望を持つことはたやすい。希望がないことがダメにする」
授業を終えて、あらためてマンデラ氏の思いやその背景に触れることで、信念の源泉について、少しでも自分なりの理解が進んだと思います。人は一人ではない。言葉に出さなくても、支えあい、感銘を受けることで、挫けない心が作られ、やがて信念に育つのだと。