『明日の広告』(佐藤尚之)(〇)
マーケティングⅠ(溜田講師)のハンドアウトで紹介されていた書籍です。
2008年に発行された本書。インターネットの普及、莫大な情報にうずもれる消費者。00年代以前に比べ、変わりつつある「広告」をラブレターに例え、何がどう変わってきているのかを紐解く一冊です。ラブレターの喩えがとても分かりやすく、現時点でも色褪せない内容です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇広告は消費者へのラブレター
「僕と付き合ってください!僕はあなたをきっと幸せにします!」
訳すならこんな感じ。
「この商品を好きになってください。そして買ってください!この商品を使ってくれたらこんなに便利で楽しいですよ」
〇ラブレターを普通に受け取ってくれた時代は楽だった
広告という名のラブレターは、以前はよく効いた。
理由をまとめると、
①ラブレターが相手の手に渡りやすかった
②ほかに楽しいことが少なかったので、ラブレターはとても喜ばれた
③渡したラブレターを相手がちゃんと読んでくれた
⇒つまり、あなたはモテていた。
〇いまやラブレターを受け取ってさえくれない
インターネットの普及で、昔ほどモテなくなってしまった・・・
モテたときの方法ではもう通用しない。つまり、
①ラブレターが相手の手に届きにくくなった
②ほかに楽しいことが山ほどあり、相手はラブレター自体に興味をなくしている。
③ラブレターを読んでくれたとしても、口説き文句を信じてくれなくなった。
④しかもラブレターを友達と仔細に検討し、友達に判断を任せたりする。
〇モテない人はどうやってラブレターを渡せばよいか
①相手の趣味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になってみる
②そのうえで相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを手渡す
③他の楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説く
④相手の友達にも気に入られるように十分ケアする
〇ラブレターは渡した後も大事
①ラブレターを渡した後、脈がありそうなら、すかさずもうひと押し
②付き合いが始まった後も気を抜かず、細やかに気を遣う
③付き合っててもライバルは次々現れ、相手は友達と相談していることを忘れずに
④長く付き合うためには、良いところだけではなく、欠点も公平に見せていくこと
〇変化した消費者を待伏せる7つの方法
①コンタクト・ポイントで待伏せる(ネット・店頭・交通広告・人など)
②新しいメディアを作って待伏せる
③口コミを利用して待伏せる
④CGM(consumer generated media)で待伏せる(SNSなど)
⑤エンターテイメントの中で待伏せる
⑥検索結果で待伏せる
⑦メディアをニュートラルに考えてコミュニケーションの真ん中に据える
〇消費者をもっとよく見る
「この商品の情報を伝えてもらいたがっている人をリアルに想像する」
「疑い深い消費者」、ポジティブに言えば、「賢い消費者」。消費者を根本的に変えたのは、「ネットの出現+情報洪水+成熟市場」。
〇商品丸裸時代のクリエイティブ
①認知に徹すること
②よりプロモーショナルになること
③ありのままの自分をだすこと
④買ってくれた人をもてなすこと
⑤買ってくれた人に参加してもらうこと
著者は、CMやwebなどのクリエイティブ・ディレクターということもあり、言葉の選び方や喩えがうまく、興味を保ちつつ読み進められました。上記の他にも、スラムダンク1億冊感謝記念イベントから学ぶ広告コミュニケーション戦略も興味深い考察です。
しかし、「自分で決めずに友達に決めてもらう」というのは、うまい喩えであり、それが現実でもありますね。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)
- 作者: 佐藤尚之
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: 新書
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