『実践経営哲学』(松下幸之助)(〇)
企業家リーダーシップDay3で議論した松下幸之助さん。復習を兼ねて、講師お薦め図書を読んでみました(講師が40冊以上の読んだ中からのイチオシとの太鼓判をいただきました)。
先に、『幸之助論』や『経営の神様とよばれた男』を読んでから本書を読みましたが、やはり経営哲学をより理解するためには、まず松下幸之助さんの生涯に触れてから本書を読んだほうが、より刺さると思います。
また、心得帖シリーズの上位概念にあたるような、経営の原点となる考え方がまとめられた一冊で、本書をきっかけとして各論に入っていくと体系的に学びやすいと思いました。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇経営理念について
何が正しいかという一つの人生観、社会観、世界観に深く根ざしたものでなくてはならない。だから、経営者はみずからの人生観、社会観、世界観というものを常日頃から涵養していくことが極めて大切。
〇使命
「自分の会社の活動が社会の人々にプラスなっているかどうかということを常に自問自答してきた。会社がなくなっても社会に何らのマイナスがないようなら解散してしまったほうがいい」
〇共存共栄
適正な競争は大いにやりつつも、過当競争は罪悪として排除しなければならない。大企業、業界リーダーほど、そのことを自戒しなくてはいけない。
〇世間は正しいと考える
リンカーンの言葉の引用が印象的。
「すべての人を一時的にだますことはできるし、一部の人をいつまでもだましておくこともできる。しかしすべての人をいつまでもだましておくことはできない」
⇒経営も同じ。真実をありのままに知ってもらうということが、長い目で見て一番大切なこと。
〇ダム経営
設備のダム、資金のダム、人員のダム、在庫のダム、技術のダム、企画や製品開発のダム・・など。
ダムのようなものを経営のあらゆる面に持つことで、外部の情勢変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げることができる。過剰設備や過剰在庫は経営のムダだが、ダム経営は、一見ムダに見えても経営の安定的発展を保証する保険料のようなもの。
〇人をつくる
まだ会社が小さい時に従業員に言っていたこと。
「お得意先に言って、『君のところは何を作っているのか』と尋ねられたら、『松下電器は人を作っています。電気製品も作っていますが、その前にまず人を作っているのです』と答えなさい」ということをよく言った。
〇対立と調和
労働組合とは常に対立しつつも調和する。
宇宙にあるものはみな対立している。月と太陽、山と川、男と女・・。しかし、対立しているだけではなく、対立しながらも互いに調和しあって、大自然や人間社会を形作っている。
本書は、全部で20項目の教えがありますが、どれもとても味わい深い内容です。自分の立場や経験によって感じ方が大きく異なってくると思います。
また、ときどき立ち戻ってきて、読み直したいと思います。