『表現力のレッスン』(鴻上尚史)
本書は、表現力を高めるためことを目的とした、体や声を使った20のレッスン集です。遊びながら体験して学べるので、研修のアイスブレイクなどの参考になります。夫婦や友達同士でやってみると面白いと思います。
レッスン方法が挿絵で示されており、分かりやすさも秀逸です。
(ポイント‥本書より)
〇貧弱な表現力
抑揚のない単調な声、平板な感情、変わらないスピード、聴き手を見ることなく下を向いて独り言のように文字を読み続ける態度、丸暗記した言葉をただ繰り返す実感の無さなど
⇒自分自身の声、体、感情、言葉に対して自覚的になり、この要素を遊んでしまおうと思えば、表現力は必ず上達していく。
〇レッスン1「信頼のエチュード」
2人が起立した状態で実施。Aが力まないで後ろに倒れ、Bが後ろで受け止める。通常、相手を信頼する気持ちのレッスンに使われるが、これを自分の体の緊張する場所の発見と自覚に使う。その緊張の場所をほぐそうと意識し、その部分の力を抜くことを習慣化していく。
〇レッスン2「目隠し体レッスン」
2人で実施。Aがポーズをつくり、Bは目隠しをして、Aの体を触ってポーズを真似する。途中、会話はしない。できたら目隠しをとり、足の角度や指の形など、具体的にチェックする。暗闇から相手の体がふわっと立ち現れるような感覚を味わう。
〇レッスン3「彫刻レッスン」
Aは彫刻家、Bは作品。Aは3分でBを動かし表情をつくり、最後にタイトルを付ける。先にタイトルを決めて彫刻をつくるパターンもあり。
〇レッスン4「ハミングレッスン」
ハミングしながら、①鼻、②口、③頭、④のど、⑤胸の共鳴を感じる。自分の共鳴を感じるパターンと、2人組で相手の共鳴を感じるパターン。
〇レッスン5「声の五要素レッスン」
今まで出したことのない、①大きさ、②高さ、③速さ、④間、⑤声色で相手に話す。「出したことのない声」=「表現」によって、「経験したことない感情やイメージ」=「感情」を持つことができる。
〇レッスン6「ムチャクチャ語レッスン」
ムチャクチャ語(タモリの仏語のような・・)で相手を口説く。何か分からないけど、「あっ、誘っているな」「あ、喜んでいる」と感じるようになる。
などなど、20のレッスンが描かれています。ちょっと試しにやってみると、「笑い」が起き場が和むので、研修などの「つかみ」の面白ネタになりそうです。
※単行本と文庫本。続編かとおもったら、全く同じ内容でした。