『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(藤原和博)
あすか会議2015(第五部分科会)に登壇される教育改革実践家、藤原和博さんの著書を読みました。藤原さんは、リクルート出身で2003年から5年間、都内では義務教育初の民間人校長を務められ、様々な教育改革を実践されたことで有名です。
本書では、中高生を対象に、丸暗記ではなく、正解のない課題を自分の頭で考える教育を目指し、ロジカルシンキング、仮説検証、コミュニケーションなど、社会に出てからすぐに役立つ学びを推奨しています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇「失われた20年」で失ったもの
・国民経済に関するものではない。一番大切なのは、かつてのみんなが共有していた正解を失ったこと。
・かつて、企業にとって絶対的な正解とされた、「もっとたくさん」「もっと安く」「もっと均質に」という3つのルールが通用しなくなった。
・世の中に正解がないということは、その正解を教えてくれる「先生」もいないということ。
〇納得解
・正解の代わりにあるものが納得解
・納得解とは、自分が納得でき、かつ周りの他人を納得させられる解
・最終的なジャッジをくだすために必要な4つのステップ
①観察 ⇒ ②仮説 ⇒ ③検証 ⇒ ④証明
〇情報編集力「レゴ型の力」
・目指すは、答えのあるジグソーパズル型ではなく、答えがないレゴ型
・情報編集力を身に付ける5つのキーワード
①シミュレーション能力
②コミュニケーション能力
③ロジカルシンキング能力
④ロールプレイング能力
⑤プレゼンテーション能力
〇「もうひとつの眼」でよのなかを眺める
・常識を疑い、自分の考えを疑うくらいの「もうひとつの眼」を持つこと
・最終的な答えではなく、まずは設計図(仮説)をつくる
・自分なりの仮説を組み立てるには、シミュレーション能力が必要
〇ポイント(まとめ)
・観察によって、よのなかから「考えるための材料」を集める
・そのために物事を多面的に見る「複眼思考」を持つこと
・集まった材料をじっくり眺めて、手に取って見比べる
・頭の中で右に左に転がしながら、組み合わせを考える
・「こうすれば問題が解決する」「この組み合わせだったらうまくいく」という自分だけの仮説を導き出す。
〇人生は出来合いの正解を探し当てるものではない。自分自身の手で納得解を作り上げていくもの。
中高生向けだけあって、問題意識や勉強法が丁寧に書かれています。本書では、上記の他にも、ブレストやロープレ、プレゼン能力についてもまとめられています。
本書の主張は、ビジネススクールの授業の一丁目一番地がクリティカルシンキングであることとも繋がっていますね。
やはり、ビジネスは、答えがない競争であり、日ごろから自分の頭で情報を捉え、分析し、結論に導いていく訓練の積み重ねが必要だと思いました。