『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(島田久仁彦)
あすか会議2015第四部(分科会)にモデレーターとして登壇される島田さんの著書を読んでみました。著者は、国連の紛争調停官、環境庁国際調整官などを務められ、国際的に活躍されるネゴシエーターです。本書では、ビジネスや日常生活でも役立つ、セオリーと経験から導かれる交渉のスキルがまとめられています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇交渉スタンスは話さない
この人は自分の話を聞きながら何を考えているのだろう?と、相手に疑問を抱かせながら話をしてもらうことで、こちら側が心理的に優位に立てることが多い。
〇交渉は72時間以内
72時間(3日)かけて合意に至れないことは、2週間かけようが、2カ月かけようが、解決できない。
〇本当の交渉期限は秘密
相手に時間軸を支配されていると、効果的な交渉はできない。そもそも交渉期限は変更できるもの。相手にもデッドラインは必ずある。
〇迷ったら、「人として間違っていない」と思えるものを選ぶ
〇交渉場所
1回目は自分のテリトリー、2回目は相手の希望する場所に出向くことを提案する。
〇窓を背に座る
相手の顔の表情が細部までよく見え、逆に相手は眩しく、こちらの表情が見えづらい。
〇わからないフリ
相手が長く話した後に行うと、驚くほど効果が出る。
〇目線から読み取る
①左上を向いている‥過去のことを思い出している
②右上を向いている‥見たことのない光景や未来を想像している
③左下を向いている‥聴覚的なこと(音・言葉)をイメージしている
④右下を向いている‥触覚・味覚・嗅覚をイメージしている
〇外国訪問
外国を訪れるときは、いずれこの国の人と交渉するつもりだと思って、その国のことをできるだけ知る
〇交渉相手は友人
相手は敵ではなく、一緒に物事をベターなほうに持っていく相互利益を得るための友人やパートナーだと考える。
〇押し切られそうなときのフレーズ
・「それはどうしてですか?」
・「私の〇〇という理解は正しいでしょうか」
・「□□さんのおっしゃりたいことは、△△ですよね」
・「□□さんのおっしゃっていることは、△△とも言えますよね」
・「もう少し詳しくお話いただけませんか?」
〇ポイントは3つまで
ポイントが多いと、話の焦点がボケてしまって分かりにくくなる
〇客観的なデータや事実
・「自分の主張」を客観的な事実や意見で裏付けるように話す
・「あくまでも理論上は」という一言は、お墨付きのような印象が出る
・専門家の意見や数字は、聴き手の意識に「これは正しいに違いない」という認識を持ってもらう効果がある。
「そんなハードな交渉の場面に出くわさない」、「日常生活では使わない」・・、人によっていろいろ感想が出そうな内容でした。私の場合、「コミュニケーションを学ぶ」という感覚で読んでいるので、「ふ~ん」「へ~」「ちょっと面白そう」と興味をそそられるないようでした。ま、日常生活でそのまま実行したら嫌な人になってしまいそうですけどね。
さて、あすか会議ではどんな修羅場の話が聞けるのだろうか。
質疑応答も見どころですね。