『知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代(田坂広志)』(2回目)(〇)
あすか会議2015の最後を締めくくられた田坂先生。講演の演題は本書のタイトル通りで、内容も本書に沿っていましたので、復習として読みなおしました。
今回は、特に、講演で印象に残ったところを中心にまとめてみます。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇事物の螺旋的発展の法則
物事の変化・発展、進歩・変化は、あたかも「螺旋階段」を登るようにして起こる。螺旋階段を登る人を横から見ると上に登っていく。上から見ると一周回って元の位置に戻ってくるように見えるが、一段高い位置に上っている。
物事の変化・発展、進歩・進化においては、古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活してくる。
→(例)インターネットオークション、eラーニング、eメール
〇7つのレベルの思考
7つのレベルの思考を、「バランスよく身に付け」「それぞれを深め」「互いにシナジーを生み出す」こと。21世紀に求められるスーパージェネラリストは7つのレベルの知性をバランスよく身に付け、垂直統合した人物である。
①思想
単なる「教養」として学ぶのではなく、「方法」として学ぶこと。未来の具体的変化を予測することはできないが、未来の大局的変化を予見することはできる。
(弁証法の思想として、上記の「事物の螺旋的発展の法則」が紹介されています)
②ビジョン
ビジョンとは、主観的願望や意志的目標ではない。「これから何が起こるのか」についての客観的思考であり、大局的洞察。思想とビジョンは往復運動。
③志
個人又は会社の意志として、このシナリオの実現を目指そう、この未来の実現を目指そうという思考のこと。「思い」は漠然としているが、「志」は具体的なもの。
④戦略
戦略とは、「戦いを略く」こと。どのような戦略にも、かけがえのない人生の時間が懸けられている。そのことを理解すれば、無用の戦いをせずに目的を達するという本当の大切さが分かる。これからの時代は、直感的感覚を鍛えることが、戦略のレベルの知性を磨くことでもある。
⑤戦術
戦術とは、固有名詞で語るべき世界。戦略思考はあっても戦術思考はない。具体的なシミュレーションを行って、戦術の最善策を検討する。戦術思考において極めて重要なものが、想像力と反省力。
⑥技術
技術の本質は、知識ではなく知恵。決して、書物で学べるものではなく、経験を通じてしか学べない。一日一日仕事を振り返り、丹念に反省をしていけば、確実にプロフェッショナルの技術を磨くことができる。反省とは極めて客観的・理性的な「知恵の習得法」。
⑦人間力
エゴを捨てることや消し去ることはできない。エゴがあるからこそ、生きている。このエゴを静かに見つめる(静観)ことで自分の心の動きを感じ取る修業や、エゴの動きを見つめる修業を続けていくことが、人間力のレベルの知性を磨くための出発点。「自分の心→相手の心→集団の心」の3つの心の動きを掴む。人間力とは、最も適切な言葉や最も適切な行為を選ぶ力。
田坂先生の著書は、どれも深く考えさせられる内容です。講演をお聞きしたこともあって、1回目に比べて読み方は深くなり、着目するポイントも変化しています。7つの思考については、本書は考えるきっかけととらえ、「で、具体的にどうする?」ということを自分に問うていこうと思います。
知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/05/15
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (14件) を見る