MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

人生で起きることすべて良きこと(田坂広志)

 『人生で起きることすべて良きこと』(田坂広志)(〇)

 発売後、即買いした本書。深く考え、内省させられる良書でした。タイトルの「人生で起こること、すべて良きこと」は、「逆境を越える究極の言葉」。本書では、逆境に直面した際にそれを越える心の持ち方、考え方が述べられています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇人生で起こること、すべてに深い意味がある

 「人生に起こること、すべて良きこと」などとはとても思えないときに思い定める言葉。これは、逆境を越える「心の技法」。

 この言葉を読んだとき、自分の過去の体験が心の中に浮かび、「そうだあの体験はやはり深い意味があったのだ」と思えたなら、それはまさに「気づき」を得た瞬間。

 

〇人生において成功は約束されていない。しかし、成長は約束されている。

 どれほどの失敗であっても、どれほどの逆境であっても、人生に正対する心の姿勢を失わない限り、必ずそれを成長に結び付けていくことができる。

 

〇逆境は自分の可能性を引き出してくれる素晴らしい成長の機会である

 逆境に直面したとき、その逆境をどう受け止めるか、どう捉えるかという心構え(逆境観)。自分は、これまでの人生において、どのようなときに成長することができたか。

 

〇何が起こったかが人生を分けるのではない。起こったことをどう解釈するかが人生を分ける(「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」)

 起こったことの意味を考える。その出来事がなぜ今ここで起こったか、自分に何を教えようとしているのか、自分が何を学べと言われているのか、いかなる成長をせよと言われているのか。

 

〇自分に本当の自信がないと謙虚になれない(「実るほど頭を垂れる稲穂かな」)

 自分に本当の自信がないと謙虚になれず、結果として自分の間違いや失敗、未熟さや欠点を認め、受け入れ成長していくことができなくなる。自分に本当に自信がある人は、自分の未熟さや欠点を認めることができるため、さらに成長していくことができる。

 

〇言葉にて語り得るものを語りつくしたとき、言葉は語り得ぬものを知ることがあるだろう

 内省日記で、自分の生々しい感情や思いを言葉を尽くして語っていくと、それを語りつくした段階で、ふと言葉にならない感覚や思いが心に浮かび上がってくることがある。

 

〇合わない人との出会い

 合わない人との出会いに正対することは、そうした人間関係の問題を乗り越えていくための大切な「心の技法」。この出会いも何かの深い縁だと思い定め、相手を見つめること。

 

〇心身一如(「心が言葉を発するのではない。発した言葉が心を変える」)

・心を整えて背筋を伸ばすことを習慣にしていると、いつか、背筋を伸ばすだけで、自然に心が整うようになってくる。

・心を込めて「有り難うございます」と口にすることを習慣にしていると、いつか、「有り難うございます」と口にする、もしくは心の中で唱えると、自然に、ありがたいという心になってくる。

・心の中に自信が芽生えれば、自然に謙虚になることができるが、逆に、様々な物事に謙虚な姿勢で処するという行を積むと、自然に心の中に、静かな自信が生まれてくる。

⇒心の中の小さなエゴがどう嘆こうが、叫ぼうが、まず言葉で感謝してしまう。ときに心の中の小さなエゴの嘆きを吹き飛ばすような思いで、「有り難うございます」と唱え、言葉で感謝してしまう。それができれば、同じ方向に心が動き、エゴの叫びが鎮まる。不思議なほど、心の奥から力が湧き上がってくる。

 

 「心身一如」という発想は、つい最近の授業で学んだことだったので、タイムリーでした。物事に正対したうえで、まず言葉を発してみる。そうすると、言葉に従い、自ずと行動が付いてくる。逆境に対して、単に発想で対応するということではなく、実際に言葉を発して自らを動かしてみるという、とても良い着眼を得ることができました。

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