『ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』(木村健太郎、磯部光毅)(〇)
著者は、クリエイターとコピーライターのお二人。思考の壁を突破する「ブレイクスルーの思考法」について書かれています。
「ひらめきは点から降ってきたような気がするが、実際は頭の中で、これまでの知識と情報の繋がりをたどって生まれた、ロジックと思考の繋がり」と、誰もが持ち合わせ得るひらめきの可能性を引き出してくれそうな内容です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇自分の思考のクセを知る
人は自分の得意なロジックで考えがち。チームで議論しても知らず知らずのうちに特定の思考ロジックにとらわれてしまう。
〇論理と感性
論理だけで組み立てた解決さくなら、今度は感性の自分を立ち上がらせて、その感覚に聞いてみる。感覚的に思いついたアイデアなら、きちんと論理のフィルターにかける。アイデアは生まれた後が勝負。その種を論理によって正しい方向に大きく育てられるかがキモ
〇「街」の思考と「森」の思考
・街‥安全。情報化された世界。考える世界。サイエンス。
・森‥危険。情報化されていない世界。感じる世界。アート。
⇒街の思考と森の思考を行ったり来たりする思考法が大切。
これからは必勝パターンが無い時代。パターン思考は通用しない。必要なのは、パターン思考に頼らずに、課題解決のための障壁を突破するアイデアが求められる。
〇ブレイクスルースパイラル(事例による解説が具体的でおもしろい)
・未来図⇒突破口⇒具体案⇒未来図のスパイラル思考
(例)<未来図>育児に熱心な男性が増える⇒<突破口>育児する男性に対する褒め言葉⇒<具体案>「イクメン」ということば。
・未来図が不明確なのか、突破口を見いだせてないのか、具体化していないからなのか、それが分かれば、ブレイクスルーへの距離と時間はグッと縮まる。あまり意識していない自分の思考プロセスを客観的に観察して把握する習慣が必要。
〇8つの思考ロジック
①演繹法(三段論法)
~〇〇、「だから」△△~
②帰納法(つみあげ)
~〇〇、「以上から」△△~
・3つの罠に注意(前例主義、永遠の枚挙、ご都合例)
⇒演繹法と帰納法は、信頼性の高い論理だが、裏を返せば臆病な論理(ジャンプできない)
③連想
~〇〇「といえば」△△→△△「と言えば」××~
・似たもの探し、ダジャレ、しりとり、~が足りない欠点探し、こうなったらいいなの希望列挙
④組み合わせ
~〇〇と△△を「組み合わせたら」××~
・形態分析法(縦軸と横軸にワードを並べマトリックス上の掛け合わせを連想)、KJ法(共通点を括って上位概念を作る)
⑤類比(アナロジー)
~〇〇と「同じように」△△~
・見た目で似たもの探し、なりきって似たもの探し、意味の似たもの探し、最初に「動詞」を設定して関連ワードを探す
⑥仮説〈アブダクション)
~〇〇、「これが意味するところは」△△~
⑦仮想
~、「もしも」~
・バックキャスティングスティング(未来に視点を移動)、スーパーヒーローになり切って考える
⑧逆説
~〇〇、「逆に」△△~
・常識を列挙→逆の状況を機械的に設定→その中で生まれる問題点に着目
論理の要点は以上ですが、詳しくは本書でも多数紹介されている事例を読むに限ります。「なるほど!」が連発。普段意識していなかったアイデアの裏側では、こういう思考の流れがあったのか!と、気づきが多い内容でした。普段、自分がいかに無意識に情報に触れているか痛感します。