MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

経済学入門(マクロ編)(ティモシー・テイラー)

『経済学入門〈マクロ編)』(ティモシー・テイラー)(〇)

 スタンフォード大学ミネソタ大学で「学生が選ぶ講義が上手な教師」1位を獲得した著者と監訳が池上彰さんという、超分かりやすいタッグです。図表・チャートがほとんどありませんが、それでも経済学の入門書としては、分かりやすい内容だと思います。

 

(ポイント‥本書より)

マクロ経済学の4つの目標

①経済成長

失業率の低下

③インフレ率の低下

④維持可能な国際収支

 

〇目標達成のための道具

・財政政策

・金融政策

 

〇経済成長

・長期的な経済成長は、生産性の向上(生産量/労働者)によって実現される

・生産性の向上をもたらす3つの原動力

①物的資本の増加(仕事で使える設備が多くなる)

②人的資本の向上(働き手の教育・経験レベルが上がる)

③技術の進歩(より効率的に生産できる)

 

失業率

・失業には、①自然失業、②景気の変動による失業の2つがある

・自然失業は景気の良し悪しと関係なく、労働者と企業の自然なゆらぎの中で生じる

 

〇インフレ

 人々がお金をたくさん持っていて、世の中に商品が不足しているときに発生。

消費者物価指数(標準的なインフレ指標)

・卸売物価指数(小売店が商品を仕入れるときの価格)

GDPデフレーターGDPに含まれる全てのものを対象にした物価指数)

 

〇国際収支

・経常収支(最も重要な指標)

 貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支が含まれる

・「貯蓄と投資の恒等式」(金融資本の需要=金融資本の供給)

→「民間の設備投資+政府の借入」=「国民貯蓄+国外からの資金流入」

・経済成長を促す政策と、経常赤字を減らす政策は、「国民貯蓄率を上げる」という同じところに行きつく。

(経常赤字を減らすには国内資本に頼る、経済成長を実現するにも国内の貯蓄率を上げて設備投資に使えるお金を増やす)

 

〇総需要と総供給

・供給はそれ自身の需要を生む(セイの法則

 商品やサービスが生産・販売されると、そこにかかわった人々にお金が入る

→景気後退が説明できない・・・そこで、

・需要がそれ自体の供給を生む(ケインズ

→好きなだけ自由に経済規模を拡大できる??

→短期的には総需要が、長期的には総供給が重要という考えが最近の主流

 

〇インフレ率と失業率

失業率とインフレ率はトレードオフフィリップス曲線

→数年単位で見ればフィリップス曲線は存在するが、数十年単位では失業率は常に自然失業率へと回帰していき、インフレ率の上昇による効果は消えていく。

スタグフレーション(相反する失業率とインフレ率が同じ方向に動くこと)

 

〇財政政策とマクロ経済目標

①経済成長

 国民貯蓄が多く、政府の借金が少なければ、設備投資、人の教育、技術の進歩によって可能となる。

失業率の低下

 政府支出を増やしたり、減税することで、雇用のネックになるような税制変更、失業者に対する手当制度見直しにより可能となる。

③インフレ抑制

 政府支出の削減や増税により、世の中に出回るお金を減らし、インフレを抑制する

④持続可能な国際収支

 国民貯蓄の増加と財政赤字の削減によって、もっと国内の資金で賄える体制を作れば、持続可能な国際収支が可能になる。

 

財政赤字と貯蓄率

リカードの等価定理

 財政赤字が増えれば、その穴埋めのためにいずれ増税が行われる。人々はそれを知っているので、増税を見越して消費を控え、その分を貯蓄し、貯蓄率が上がり財政赤字を補うことができる。

・クラウディングアウト

 財政赤字が拡大して政府の借り入れ需要が増えると、そのぶん企業の設備投資に使えるお金が少なくなる

財政赤字を低く抑えて民間の設備投資を増やすことは、長期的な経済成長を支える上で非常に大事なポイント

 

 このほかにも貿易と経済成長・失業率の関係など、興味ある内容が続きます。経済学の分厚い本を読む前に、まず入門書として読むのに手ごろだと思います。難しい算式もなく、(人によりますが)経済学の勉強にありがちな、「とっつきにくく、難しそう・・」というところが回避できそうです。

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