MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

そのFC加盟契約ちょっと待った(ペリー深沢)

『そのFC加盟契約ちょっと待った』(ペリーフカサワ)[Kindle版] (〇)

 

 本書は、元スーパーバイザーの行政書士である著者がFC加盟契約の勘所を実務の目線からまとめた内容で、要点がコンパクトにまとまっています。

 独立開業する際に、フランチャイズ本部のネームバリューを信頼し、即契約してしまいがちですが、契約ごとは最初が肝心。本部側からの情報ばかりを頼りにするのではなく、第三者といっしょに客観的に多方面から検討して、本当に自分にあっているのか、いないのか判断すれば、成功の確率は飛躍的に上がる。そんな思いで書かれた実務書です。

(印象に残ったところ‥本書より)

〇誰にも相談せずにFC契約する実情

 加盟の際誰かに相談した人は、わずか9%。9割以上の方が誰にも相談せずに加盟をを決めている。しかも、YESと言っても中身は家族がほとんど。

 

〇FC本部のメリット

・加盟者の経営資源を活用するため、多額の資金や人材を必要としない。
・店舗数が増えるにつれ、知名度が高まって安心感が増すため、来客数が増えていく。
加盟店オーナーは地元で継続的に商売を行い、意欲も高いことが多い。またオーナーの地域ネットワークが活用できる。
 
〇投資回収期間:3年以内
 
〇FC本部の売上高
・直営店の売上
ロイヤリティー
原材料売
加盟金
初期研修料
設計監修料
 
〇FC本部が加盟店を選ぶ3つのテッパン基準
①本部の経営理念、経営方針に共感し同じ志をもっている。
②自分で事業を始めたい動機が明確で、何が何でも成功させるといった精神的な強さがある。
③立ち上げ費用のほかに必要最低限(半年分の生活費含む)の自己資金が用意できている。
 
フランチャイズでの成功
=自分の努力×本部の実力
「店舗は立地7割」
 
フランチャイズ加盟者からの一番多いクレーム(経済産業省の統計)
 「本部に指導力がない」 
 
〇FC本部の指導力を見極めるための質問術
 いくつか簡単な質問をしてみること。
 ・売上を伸ばす方法はどのような方法がありますか?
 ⇒経験豊富ならすぐ答えられるはず。
・この仕事は楽しいですか?
 ⇒仕事に対する情熱があるかを判断。
・担当店舗は何店舗ですか?
 ⇒あまり店舗数が多い巡回回数は少なくなる。
 
〇FC成功率
 個人で開業した場合の成功率は30%。FCの成功率は70%。
 
〇FCに加盟するメリット
・初期投資金額が少ない。
開店前準備が楽。
知名度のある看板が使える。
ノウハウの蓄積。
 
〇FCに加盟するデメリット
・本部の選択により収益は左右される。
独自性が出しにくい。
同チェーンの他店の不祥事が全体に影響する恐れがある。
 
〇開業時にかかる費用
(開業時)
・加盟金・保証金
・立地調査費
・研修費
・什器・備品代
・商品代
・許認可申請費用
 
(開業後)
 開業後は運転資金(人件費、仕入れ代、水道・光熱費)やロイヤリティ、研修・指導料、広告分担費などが毎月必要。自身の給料も含め、その月の売上金から流用しないこと。 6ヶ月分以上の生活費は必ず確保しておく必要がある。
 
フランチャイズに関するトラブル
 一番多いと思われるのが、 「収益予想と実際の収益がまったく違う!」
加盟希望者自身がフランチャイズ・システムについて十分勉強すること。
・物件選定や事業計画についても本部任せにせず自ら十分検証すること。
・契約書はきちんと読み合わせをする。
・収益予想の注目するところは収益、利益です。
 
〇契約書の確認ポイント 
フランチャイズ本部に支払う金銭について
 契約書に記載されている内容と、説明資料に書いてある内容に違いがないか。
②契約期間及び契約更新について
③中途解約について
競業避止義務について
 
 本書にある通り、FCでの成功は、自分の実力×FC本部の実力。加盟するなら本部の実力の判断や契約内容の確認は不可欠です。しかし、実態は9割が専門家に相談せずに契約に至っている。大事な投資だけに専門家の知恵を借りるのは一考ですね。