『グーグルのマインドフルネス革命』(サンガ編集部)
タイトルをみて衝動買いしました。マインドフルネスを企業に取り入れると何がいいの?実際どうやっているの?という興味をかき立たせる内容です。
呼吸に集中し「今ここ」に意識のスポットをあてるマインドフルネス。Googleでは、実践しているのは10人に1人ということで、まだまだ発展の過程にあるという感じですが、企業が推薦し、社員が取り組める環境を整えているという点では、さすがGoogle!です。ほかにも、インテル、ツイッター、ナイキ、マッキンゼー&カンパニーなども能力向上のトレーニングとして、マインドフルネスを導入しているようです。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇マインドフルネスの効用(Google人材開発部門・ドヴェイン氏インタビューより)
・外部刺激に対し無自覚に対応するのではなくきちんと対応できる。
→ストレスを感じる場面で、イラッとしたり怒るのではなく、その状況を意識的にとらえなおしてみるというチャレンジができるようになる。
→思いやりや優しい気持ちが育まれる。
→人間関係のもめごとなどにエネルギーを費やすことが少なくなる。
〇マインドフルネスに関する科学的研究
①慢性疼痛をはじめ、喘息・糖尿病などの身体的な病状を改善する
②不安、不眠、恐怖症や摂食障害など、精神的困難な状況を改善する
③学習や記憶、感情コントロールに関する脳の領域が活性化される
④思いやりや共感といった心理的な機能が向上する
⑤交感神経系を落ち着かせ、副交感神経系を活性化させる
⑥免疫システムの働きが向上する
〇Googleの取り組み
・当初は一部の社員が小規模な瞑想セッションを開いていた
・その後、「SIY」(Search Inside Yourselfという瞑想プログラム)が立ち上がり、瞑想に取り組む人数が加速度的に増加(2015年現在、社員の10~15%が実践)
・「自己認識」「自己制御」の力が身につくと評判
→仲間と一体感を持ち調和の中で働くことができる。慈悲に基づく決断、より大きな利益に基づいた決断をくだすこともできる
・世界33ヵ所のオフィスで毎日瞑想プログラムが実践されている。
・新入社員のオリエンテーションでも、マインドフルネスのための休憩が設けられている
・1日~数週間のリトリート(仕事や家庭を離れた環境で自分自身を見つめなおす)も実践。
・世界50ヵ所のオフィスでは、マインドフルなヨガのクラスも開催。
・本社には、瞑想するためのスペースが31ヵ所ある。
〇他社事例
・インテル
「Awake@Intel」という1回90分、9週間にわたるプログラムで呼吸のエクササイズと瞑想のテクニックを中心に指導。
社員の幸福と健康保つための瞑想プログラムを開発し、社外にも提供している。
・ナイキ
社内にリラクゼーションルームがあり、社員がいつでも瞑想できる環境がある。社員が受講できるヨガや瞑想のくらすもある。
・アップル
社員が就業時間中に1日30分の瞑想の時間を取ることができる。
〇瞑想アプリ「ヘッドスペース」
数あるマインドフルネスアプリの中でGoogleがインフォーマルな瞑想をするときに使用しているアプリ。2010年に創業したヘッドスペース。至ってシンプルで、初心者は「Take10」(最初のコース)を1日10分やる時間をとればいいだけ。
〇Googleはどう変わったか?
・社員一人ひとりの心の状態や気持ちが変化し、会社というコミュニティの中で、どのように自分自身を表現するかということが変わった。
・社員には、自己認識力や自己制御力、慈悲や思いやりの気持ちが生まれてきている。
・思慮深く行動すれば、トラブルのリスクはゼロにはならないものの、トラブルが起きたときに、自分自身が対応する心の準備ができた状態になる。
企業がマインドフルネスを取り入れるのは、かなり社風が影響しそうですね。数字で効果を説明するのが難しいだけに、経営陣の考え方次第と言えるかもしれません。