MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

知名と立命(安岡正篤)

『知名と立命』(安岡正篤)(〇)

 

 タイトルどおり、深~い内容でした。読み手の資質が問われるといっても良いと思います。本書は人間学講話シリーズの1冊で、東洋政治哲学・人物学の権威である著者らしい、中国古典の名言を引用しながら、「命」(めい)とは何か、動物的・機械的な「宿命」ではなく、「運命」を自ら創るための人間学教養を説いています。

 

■ひとことまとめ

 学問修養により「命」を知り「命」を立てて、自らの「運命」を作る

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇人間学とは

・「知識の学問」→「知恵の学問」(直感的な人格的な学問)→「徳慧の学問」(普通では容易に得られない徳に根差した徳の表れ)。「徳慧の学問」、すなわち人間学が盛んにならなければ本当の文化は起こらない。

・人間学の条件

①本当の学問の目的というのは、立身出世や就職などのためではなく、窮して苦しまず、憂えて心衰えず、福禍終始を知って、惑わないためである(荀子

②何のために学ぶかといえば、自己の自主性・自律性を錬磨し、自由を確立することであり、それによって発達する自己を通じて世のため人のために尽くさんがためである。

 

〇東洋哲学の精神(「命」について)

・絶対的、必然的な何かの意味を「命」で表す。生命というのはなぜ生命というか。生の字に命という字を付けるかというと、我々の生きるということは、これは好むと好まざると、欲すると欲せざるとにかかわらない、必然であり絶対的なもの。

・「命名」というからには、この名がこの子供に絶対的な意味を持っている、この子はこの名のごとく生きねばならない。こういう必然、あるいは絶対の意味を持って付けて初めて「命名」と言える。

・だいたいどんな哲学や科学でも究め尽くす、究尽していくと、必ずそこに絶対的、必然的なものがある。これを「天命」という。

・哲学は哲学、宗教は宗教、それぞれの立場から天命を追究して、これが天命であるというものをいろいろ立てていく、これが「立命」。

・人生そのものが一つの「命」(めい)である。その「命」は光陰歳月と同じことで、動いて止まないから、これを「運命」という。

・運命は動いて止まないが、そこにおのずから法則がある。その法則をつかむと、それに支配されないようになる。自主性が高まり、創造性に到達する。つまり自分で自分の「命」を生み、運んでいけるようになる。

・人間は、その「命」は運命であって、宿命ではないことをよく知らねばならない。

 

知命立命

 我々の「命」をよく「運命」たらしめるか、「宿命」に堕させしむるかということは、その人の学問教養次第である。これが命を知る「知命」、命を立つる「立命」の大切な所以である。人間は学問修養しないと、宿命的な存在、つまり動物的、機械的存在になってしまう。よく学問修養すると、自分で自分の運命を作ってゆくことができる。いわゆる、「知命」「立命」することができる。

 

〇環境と人

 環境が人を作るということに捉われてしまえば、人間は単なる物、単なる機械になってしまう。人は環境を作るからして、そこに人間の人間たる所以がある。自由がある。即ち主体性、創造性がある。だから人物が偉大であればあるほど、立派な環境を作る。人間ができないと環境に支配される。

 

〇国家の運命

・「命」を革(あらた)める。つまり「宿命」を知って、「立命」することを「革命」という革命ができる人物というのは非常に自主的・創造的人物。幕末維新の頃を見ても藩校からほとんど人物はでいていない。みな自由自学、自分の信念、自分の見識で勉強した連中は、決まりきった型にはまらない人々。

 

〇志

 志というものが単なる観念や空想ではなく、それが物事を成してゆく現実のエネルギーであるときは「志気」という。いかなる場合にも志を変えないことを「志操」とか「節操」という。志操や節操ができてくると、物事に動じなくなる。つまり物の誘惑や脅威に動かされなくなる。

 

 

 「命」(めい)をどう捉え、どう活かしていくのか、自分自身が試される。環境に支配される動物的・機械的な存在ではなく、自ら運命は自分で創ることができる。そのためには学問修養が必要。とても奥の深い内容でした。

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