MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門(佐藤隆)

 『ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門』(佐藤隆

 

 「リーダーシップとメンタルヘルス」の講座の参考図書です。本書では、メンタルヘルスを「疾病とその治療」という狭い枠ではなく、職場の対応を含めて改善を図る「適応アプローチ」を取り入れることで、経営学メンタルヘルスを融合させてメンタル不調の予防策と対応策を講じることを目的として書かれています。

 

■ひとことまとめ

ストレッサーを取り除く「適応アプローチ」でメンタル不調を予防する

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇適応アプローチ

 メンタル不調の原因をストレスに求め、日常のリーダーシップ行動の中で部下を勇気づけたり、相談に乗ったり、職務のサポートをしたりすることで、ストレッサーを除去したり、対処能力を改善することによってストレス反応を軽減する。

 

〇ストレッサ―とストレス反応

・ストレッサ―:ストレスを発生させる原因や環境

・ストレス反応:ストレッサ―による生物的・心理的・社会的反応

 

〇職業性ストレスモデル

メンタル不調になる人は必ずしも仕事だけが原因ではない。プライベートととの複合要素でなる場合も多いということを理解しておく必要がある。

①仕事上のストレス要因(職場環境、役割上の葛藤、人間関係など)

②-1:個人的要因(年齢、性、婚姻状態、性格など)

②-2:仕事外の要因(プライベートの問題、家庭や家族の問題など)

②-3:緩衝要因(上司、同僚、家族、友人からのソーシャル・サポート)

③ストレス反応(生理的、身体的、心理的、行動的など)

④疾病(心身の障害)

 

〇ストレスを受けやすい6つの性格傾向

①生活習慣危険傾向(多量飲酒、過食、娯楽発散型など)

認知行動療法、リラクセーション、食事改善

②消極成功(問題回避型、ストレス状態は続くため慢性化する傾向)

認知行動療法

③漂流傾向(他者に合わせる、自分はこれでいいのかという不満状態)

⇒人生の座標軸の設計

④焦燥傾向(一生懸命働くモーレツ人間、心臓に負担がかかる)

⇒リラクセーション、時間捻出

⑤神経質傾向(ちょっとしたことでストレス状態になり、慢性化傾向)

認知行動療法、リラクセーション

⑥孤高傾向(重荷を一人で背負い、コミュニケーションが低下)

認知行動療法、コミュニケーションの改善

 

〇部下の気持ちに配慮する

 業績や成果のベクトルだけではなく、「メンバーの心のあり方」に関心を向ける。業績・成果志向は一時的に業績を伸ばしても長期的・持続的な成功に繋がることはない。次のような問題に陥ってしまう。

面従腹背部下の増加

②燃え尽き型部下の増加

③足を引っ張り合う部下の増加

④自信喪失の部下の増加

 

〇カウンセリングマインドを持つ

人間関係を第一に優先するという心がけ。基本は、「信頼関係をつくる」「共感的理解を示す」「受容する」。

 

〇見極めと対処

 大事なのは、深刻な事態になる前に部下のサインを見極める「早期発見」の視点。見極めは、一概にこうだと言えるものではなく難しい。従って、迷ったらまずは勝手な判断はせずに、医師に診断してもらうように勧める。

①部下の「正常」を把握する

 おかしい状態に気づくためにも正常な状態を把握する必要がある。勤怠管理上、業務遂行上での気づきに注意。能力やモラールの低下は人事考課上マイナスになるため、部下は症状を隠すのが通常。

②状態の継続性に着目する

③部下のイベントに気を付ける

 昇格、異動、自宅購入、結婚などのポジティブな出来事も引き金になる場合がある。部下のことを知ろうとする誠実な努力をする必要がある。「私の職場は大丈夫」と考えている人ほど、部下のことを知らないもの。

 

〇部下の復職にあたって

①復職プログラムの策定

 うまくいかない典型的なパターンは、「無理をせず休みながらゆっくり復職してくれ」というコミュニケーションの身で復職させるやり方。あとどれくらいやれば次のステップに進めるのか、先の見通しを明確にすることが必要。

モニタリングを怠らない

 大事なのは表面的な管理ではなく、相手はまだ不安な状態だという前提に立ち、しっかりとモニターする意識を持つこと

③情報を共有化する

④正しいメンタルヘルスの知識を持つ

 焦りは禁物。メンタル不調になった人にとって重要なのは「時間」。ゆっくり時間をかけてて慣らしていくこと大事。

 

 メンタルヘルス問題は、部下を一人でも持つ方なら避けては通れない領域です。正しい知識と毎日の行動の両方が大事。部下を持つ責任と心構えが試される領域といっても良いかもしれません。ただし、危ないなと思ったら餅は餅屋で専門家へ繋ぐことを忘れずに。

ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門―適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す | 佐藤 隆, グロービス経営研究所 | 本 | Amazon.co.jp

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