MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ローマ人の物語Ⅳ(塩野七生)

ローマ人の物語Ⅳ』(塩野七生)(〇)

 第四巻「ユリウス・カエサルルビコン以前~」は、『ガリア戦記』で有名なカエサル(紀元前100~紀元前44年)の出生~50歳までを描いている。第Ⅴ巻と合わせて900ページ以上がカエサルに割かれている、シリーズ最大の重要人物。読みどころ満載の一冊です。

 

(第Ⅳ巻のポイント‥本書より)
〇主な年表
・紀元前100年:出生

・紀元前84年:キンナの娘コルネリアと結婚

・紀元前82年:スッラの離婚命令を無視し小アジアへ逃亡。

・紀元前78年:帰国

・紀元前70年:会計監査官就任。遠スペインに赴任。元老議員となる。

・紀元前68年:妻コルネリア死去

・紀元前65年:按察官に就任

・紀元前63年:最高神祇管就任

・紀元前62年:法務官に就任

・紀元前61年:属州総督として遠スペインに赴任

・紀元前60年:ポインペイウス・クラッススと「三頭政治」結成

・紀元前59年:執政官に就任

・紀元前58~51年:ガリア戦役

・紀元前50年:北伊族種に戻る

 

〇印象に残った言葉など
・天才は時代を越えたからこそ天才なのである。

・敵への不信だけでできる戦争とは違って、政治は敵でさえも信頼しないことにはできない。

・戦争は死ぬためにやるのではなく、生きるためにやるのである。戦争が死ぬためにやるものに変わり始めると、醒めた理性も居場所も失ってくるから、すべてが狂ってくる。生きるためにやるものだと思っている間は、組織の健全性も維持される。その最もはっきりした形が、一兵卒にもわかるようにはっきりした形が、食料の確保だった。カエサルはその重要性を生涯忘れていない。

・人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。

・復讐は、復讐に燃える側もその対象にされる側も、同じ水準にいなければ成立不可能な感情である。ただし、それを利用する者は、燃えるよりも醒めていなければならなかった。なぜなら、感情とはしばしば、理性で必要とされる限界を越えてまで暴走する性質を持っているからである。

・人間誰でも金で買えるとは、自分自身も金で買われる可能性を内包する人のみが考えることである。非情とは、非難される側より非難する側を映し出すことが多い。

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