『「うつ」からの職場復帰のポイント』(吉野聡、松崎一葉)(2回目)
管理職昇進が決まったときに最初に読んだ一冊です。今回、リーダーシップとメンタルヘルスの受講にあたり再読してみました。本書はタイトルどおり、「うつ」からの職場復帰に焦点をあて、4つのステージに分類してまとめられています。事例やチェックポイントも豊富で実践的な内容です。
(ポイント‥本書より)
〇第1ステージ(要治療期の過ごし方)
・この時期は、何も考えずにしばらくゆっくり休むことが何より重要
・休養のポイントは、とにかく自分の気の向くままに生活を送ること。頑張りたくても頑張れないのがうつ病なので、それ以上何かをしようと頑張ると逆効果。
・アルコールはダメ。うつ病の治療薬とアルコールの飲み合わせは悪い。睡眠の質にも悪影響が出る。
・通院、抗うつ薬の服用は医師の指示通りに行う
・身体の疲労は避ける
・大切な決断は保留する。
〇第2ステージ(リハビリ期の過ごし方)
・職場復帰に向けて具体的な目標を掲げながら、リハビリを行っていく
・疲労が蓄積されやすいので、少なくとも7~8時間の睡眠を確保する
・適度な運動(1日8000歩程度)。疲れるまでやり過ぎないこと。
〇第3ステージ(職場環境調整期の過ごし方)
・病気や職場復帰当初はあまり無理できる状態ではないことを本人と職場(特に管理職)で十分に話したうえで、職場復帰を果たすこと
・職場復帰の5ステップ
①病気休業開始及び休業中のケア(診断書の提出)
②主治医による職場復帰可能の判断(職場復帰の意思表示及び職場復帰可能の診断書の提出)
③職場復帰の可否判断及び職場復帰支援プランの作成(職場復帰支援プランの作成)
④最終的な職場復帰の決定(就業上の措置の検討、事業者による最終的な職場復帰の決定)
⑤職場復帰後のフォローアップ(職場復帰支援プランの遂行確認と症状の再発予防)
・職場復帰可能の診断書が発行されたときは、主治医と職場の上司や産業保健スタッフなどの関係者とが一度面談するとよい(本人の同意のもと)。
〇第4ステージ(職場復帰後、再発予防期の過ごし方)
・主治医の先生の指示のもと、少しずつ薬を減らしていくことが重要
・物事の優先順位を付けて、ゆとりある生活を送る
・定期的な運動習慣を確立する
あらためて読み返してみると、これまでの実務で活きているなぁと思いました。専門知識は難しいと思いますが、勘所だけは押さえたい分野ですね。やはり基礎知識は大切だと実感した一冊でした。
現役 精神科産業医が教える 「うつ」からの職場復帰のポイント | 吉野 聡, 松崎 一葉 | 本 | Amazon.co.jp