『松下幸之助の生き方』(佐藤悌二郎)
PHP研究所専務がまとめた松下幸之助の77の言葉(それぞれA4で1枚)を解説した一冊です。先に、『幸之助論』や『経営の神様と呼ばれた男』など、松下幸之助の生涯を描いた本を読んでから、本書を読むほうが、本書の良さが感じられると思います。
■ひとことまとめ
当たり前と思うことを愚直に実行し続けること
(印象に残ったところ‥本書より)
〇現実から学ぶ
万巻の書を読まなくても、真理はすべて日常の事象の中に具現化されている。たしかに真理や原理原則は万巻の書物に書いてあり、普通はその本を読んで研究するが、それ以上によく説明しているものがある。それは現実という書物だ。
〇企業は国家からの預かりもの~税金~
税金に関してはいっさい心配はいらない。もともと国家のものを我々が預かっているにすぎんのやから、喜んで出したらいい。企業というものは全部国家のものであって私のものではない。
〇指導精神の必要性~綱領・信条~
10人でも15人でも人を使ってみると、錦の御旗というか、よりどころというか、そういったものがいる。一生懸命に頑張ることは必要だし当然。そこに、一つ何か理念というものを考えてやるほうが”強さ”が出てくる。
〇固定観念にとらわれない~ラジオの製造~
自分の仕事のうえにおいて、ときには定まった考え方から解放され、素直な疑問、素直な考えというものを大切にし、それを生かすことが必要であろう。それを常に育てていくことによって、まったく新しいものを生み出すことができるのではないかと思う。
〇適正利潤を加味した価格設定
自らの見識によって適正価格を定めなければならない。そういうような考え方というか信念というものを、お互いが持たねばならない。
〇明文化して意識づける~3つの心得を通達~
お互いに期するものをもち、自らを律しつつ、目標を追求していくという姿が望ましい。一つの集団、一つの会社が力強い活動を続けていくためには、何らかの規則、決まり、心得を明文化して、それを一人ひとりが繰り返し噛みしめていくことも非常に大切だと思う。
〇企業の社会的責任を果たす~九州松下電器を設立~
地域社会から喜ばれるような企業にならなくてはいけない。そのやり方についてはいろいろと考えられると思うが、企保的に大事なことは、やはり地域社会に本当に溶け込み、一体となって、その発展に尽くしていくという心構えを持つこと。
〇目標を明示する
目標が示されると、従業員の間にそれを達成しようという意欲とまとまりが生まれ、それが企業に活力をもたらすのは私自身が何度も経験したところ。経営者たるものは絶えず夢を持つというか、「こういうことをやりたい」「このような会社にしていきたい」という理想を描いていることが大切だと思う。それを次々に目標として発表していく。
〇各方面に余裕を持った経営を~ダム経営~
備えあれば憂いない。川にダムをつくって水を貯え、それによって水の流れを調節し、水を無駄なく活用する。それとおなじように、経営全般にわたってダムをつくり、余裕をもって経営を進めて行こうというのが私のいうダム経営。
会社は社会の公器という考え、社員一人ひとりの自覚、責任、やる気、アイデアを引き出そうという人間経営。経営の神様と呼ばれるにふさわしい言葉の一つひとつには重みがあります。言葉の内容は、しごく当たり前と感じるものが多いですが、それが徹底して実行されているところにそのすごさがあると思います。
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