MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

一瞬で大切なことを決める技術(三谷宏治)

『一瞬で大切なことを決める技術』(三谷宏治)(〇)

 本書は、K.I.T.(金沢工業大学)教授の三谷宏治さんの『正しく決める力』(2008年)を全面的に書き直し2014年に発行されたものです。

 重要思考、Q&A力、喜捨法の3つの技術により「決める力」を高めることを目的として書かれています。とても読みやすい文庫本です。

 

■ひとことまとめ

 「決める力」は、①重要思考、②Q&A力、③喜捨法の3つの技を極めること

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇「決める力」を高めるには、①重要思考、②Q&A力、③喜捨法の3つの技に集中して身に付くまで繰り返すこと。10も20も学ぼうとしないこと。

①重要思考(考える):大事なことに集中する

 →思考の無駄をなくすこと

②Q&A力(議論する):大事なことを問う、答える

 →コミュニケーションの無駄をなくすこと

喜捨法(実行する):捨てることを強制する、楽しくする

 →捨てる恐怖を乗り越えること

 

〇重要思考

・お客さんにとって大事なことは何か

・「重み」×「差」=インパクト‥「重み」大の項目で「差」があるから意味がある

・ヒトは「重み」でなく、「差」ばかり気にする

・何かを考えるとき、「それって大事?」と自己ツッコミ

・人に話すときには、「そもそも〇〇が大事で、だから〇〇でこんな差を付けた」と必ず大事であることを最初に言う

・大事なことから考え、決める型

①目的レベル:価値観や最終目標となる前提条件

②戦略レベル:右か左かの方向性

③効用レベル:そのために達成すべき中間目標

④手段レベル:最終的に選ぶツールや戦術の優先順位・取捨選択

・測る、量る、図る

 何が大事か決めるときには「ハカる」こと

認知バイアスは自然な歪み→事実をハカって確かめる

・選択肢を挙げる→論理的&発想的

・分析手法:積み上げとクロス

 

〇Q&A力

・①構造化して伝えること、②大事なことから聞くこと、逃げずに答えること

・大事なことから伝えるには、階層(大事なことからどの段階に当たるか)、親子関係(何と何がどうつながっているのか)

・質疑応答:疑問点を質すこと、それに答えで応ずること。その目的は発展的な議論をすることであって、自分の提案をそのままうまく通すことではない。

・逃げない

①聴くことから逃げない、ちゃんと真面目に聞く

②大事なことから逃げない、ちゃんと大事なことから問う

③問われたことから逃げない、ちゃんと正面から答える

・会議質疑の5ルール

①プレゼンターは最後に簡潔な文章でまとめる

②質問の前に各自3分考える

③勝手に話さない、話題を変えない

④賛否を示す、コメントに逃げない

⑤意思決定者を一人決める、雰囲気で決めない

・思考プロセスに遡るQ&A指導法

 誤答→誤ったプロセス→誤った前提?→正しい前提→正しいプロセス→正答

 

喜捨

・①ルールなどで無理やり捨てる、②楽しくして自発的に捨てる

・強制的に捨てる3つの方法

①自分ルール法(自分で勝手にルールをつくる)

②チーム主観法(仲間の客観的判断、共通価値観に頼る)

③基準法(大組織で使う)

 

 論点がシンプルで事例も含めてとても分かりやすい内容です。特に重要思考については、毎回意識しながら身に付けていきたい技です。時々振り返りながら、自己修正して、自分の思考のクセを見つけたいですね。特に、ハカって、クロス法で「重み」を見つけられるように訓練できれば、決める力は格段にアップするはずです。

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