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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

日本を動かす「100の行動」(堀義人+G1政策研究所)

『日本を動かす「100の行動」』(堀義人+G1政策研究所)(〇)

 日本を良くするための「100の行動」。考えているだけでは変わらない。行動してこそ価値がある。何を考えどう行動すればよいのか、着眼すべきテーマとその方向性について、グロービス経営大学院の堀学長とG1(政治家や各界リーダーが集うサミット)メンバーが4年間にわたって討議しまとまったのが本書です。

 内容はちょっとびっくりしてしまうほど踏み込んだ政策提言。「えっ、こんなことまで提言しちゃうの?」「できるわけないだろう」的な、反対者続出、ハチの巣をつついたような大騒ぎになってしまうようなこと(つまりは、何とかしないといけないと思っていても、批判が怖くて、普通は言い出しづらいこと)も、ズバッと切込んで示されています。

 本書の魅力は、今の日本が考えなければならないことについて、幅広い着眼で示唆が得られること。1提案2ページの見やすい体裁。そして、本書を読んで痛感させられることですが、「自分がいかに日本の将来について考えていないか」「考えるべきことを知らないか」ということ。行動するにしても批判するにしても、議論の土台となる前提知識が足りない(または偏っている)ということに気付くことができます。 

 錚々たるメンバーが長年議論してまとめられた本書。未来を考えるきっかけになると思います。

「ダメ出しではなく、ポジ出しを!」。そんな、前向きな気持ちで読むことが求められます。

 

(印象に残った提言を抜粋‥本書より)

〇経済産業編より

FTA/TPPを成長戦略と位置づけ、諸外国との交渉における貿易・投資の自由化のルール作りでイニシアティブを発揮する

・働き方の発想を根本から変え、解雇規制の撤廃や労働者派遣法、労働契約法の見直し、同一労働同一賃金の理念を具現化

 

〇外務・防衛編より

国益第一主義で、予算委員会等での全閣僚出席の慣例を改め、首相・外務大臣・関係閣僚が機動的な外交を可能とする環境を整備

・防衛力の選択と集中を進めて、警戒衛星や偵察衛星を自国で保有して日本の情報有意を確立するなど、ISR(警戒監視偵察)能力を徹底的に強化

 

〇財務・金融編より

・(政府調達)自律的に調達額を抑える仕組み

・(所得税配偶者控除廃止(女性の就労促進)

・(金融)東京を国際金融特区として認定。外資誘致へ大胆な優遇策を。

 

〇厚生労働・農林水産編より

・(医療)後発医療品の使用義務化、自己負担比率一律3割、医療サービスの利用実績に応じた保険料制度導入

・(年金)高齢者雇用促進により年金支給開始70歳(ゆくゆく75歳)、マクロ経済スライドをでデフレ下でも反映

・(生活保護)基礎年金と同額まで切り下げ、医療費免除廃止(3割負担)、一定の社会奉仕義務や就労義務を課す

・(介護)自己負担比率3割、要介護認定医数に上限、家族介護へインセンティブ

・(病院経営)医療法人の理事長を医師に限定する規制を撤廃

・(農業)新規参入規制の完全自由化

・(農協)独占禁止法の適用

 

〇文部科学編

・(大学)一般運営交付金廃止。その資金をバウチャーとして学生に配布。

・(英語)大学受験のTOEFL

・(理数)小学校1・2年生に理科を復活。理数教育に特化したスーパー・サイエンス・ハイスクールの拡大

・(伝統工芸)供給者補助よりも需要者育成へ(小学校のカリキュラムに伝統工芸の体験活動を加える)

 

〇国土交通・総務編より

・(高速道路)完全民営化のうえ料金設定等の権限付与

・(不動産)容積率緩和・用途規制緩和で空を活用

・〈過疎化)人の住まない地域を自然環境資源として積極的に考える土地利用計画

・(リゾート)観光立国のためのカジノ合法化と統合型リゾートの導入

・(自治体)都道府県廃止。新たな10の「道」と2の特別区。20~40万人都市300を基礎値自体に再編し規模の経済化。

 

 などなど。他にも環境・法務・内閣府編、憲法(案)も掲げられています。

 とりあえずの第一声は、「ネガティブワード」ではないでしょうか。仮にそうだったとしてもそこから「自分だったらどうするか」という「ポジ出し」ができるか。そこを考えてみるいいきっかけになりました。責任ある錚々たる立場の方々が当事者を持って議論されていることに敬服します。また、自分が知らない新たなテーマの書籍が増えそうです。

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