『小泉純一郎独白』(常井健一)
本書は、2015年10月に行われた小泉元首相へのロングインタビューです。約90ページにわたり、著者と小泉元首相との対談が語り口調そのままに掲載されています。原発の話を中心に、政治生活の振り返り、安倍政権に思うこと、小泉進次郎議員のことなど、現在、小泉元首相が何を考えていらっしゃるのかが良く伝わる内容でした。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇目次より
・「原発は安全、安い、クリーン。これ全部ウソだ」
・「選挙に弱い政治家は圧力に弱いんだよ」
・「酒と女はニゴウまでって(笑)」
・「俺なら原発ゼロを総選挙の争点にする」
・「安部さんは全部強引、先急いでいるね」
・「議員辞めてから靖国に一度も行ってないよ」
・「自民党は総理に何言おうが自由だった」
・「進次郎の結婚は四十過ぎでいいよ」
・「政界っていうのは敵味方がすぐに変わるんだよ」
・「『女性遍歴を書いてください』と言われる(笑)」
〇原発ゼロを訴え続けていることへの質問に対し・・
「原発推進論者が言っていることもやっていることも間違っているってわかったからよ。ひでえことを俺も信じてきたなという自分への悔しさ、不明の至りだな」
「原発は安全、安い、クリーンって、推進の三大スローガンが、全部ウソだというのが分かってきた。~(略)~「小泉さんウソ言わないでください」という意見が誰も出てこない。本当だから誰も反論できないんだよ」
〇郵政民営化への質問に対し・・
「郵政民営化は全政党反対だった。俺は何で当たり前の改革を否定するんだ、バカじゃないかという憤りがあったから実現しようと頑張った。政治家は「公憤」が大事なんだよ」
〇軽減税率についての質問に対し・・
「軽減税率を設けるぐらいだったら消費税を上げないほうがいいよ。それよりも無駄を省けと。財政削減したほうがいいんだ。ところが実際そうやると、今までもらっていた層が、既得権が削減されるから痛みがすぐわかるでしょう。年金にしても医療にしても削減されるほうが困るから国民も削減が嫌なんだ。だから役人も政治家も要望されたことを断るよりも受け入れるほうが楽なの。民主主義国家というのは大体財政赤字になるんだ。役人も政治家も「財政削減する!」というのは口だけ、本音は増税何だ。そうなっちゃうと、ますます経済は活力がなくなってくるよ。いずれ日本もギリシアみたいになるよ。ここまで来ると削減できない。インフレで解決しようとする。インフレで一番困るのは一般国民です。国民は自分が困るようになるまで、その苦しさがわからない」
〇小泉進次郎議員に腹心がいないという質問に対し・・
「進次郎に腹心がいないとか関係ないんだよ。そういう先入観が間違える。作っていくんじゃなくって、できていくんだよ。その時に腹心ができたり、裏切られたりする。それを見抜いて御していくのが指導者というものなんだ」
などなど、インタビューがそのままの語り口調で掲載されているので、とても雰囲気が伝わってきました。半分くらいが原発関係の話。かなり踏み込んだ実情のお話もあり、興味深い内容です。メディアに出られる機会もないので、貴重な資料だと思います。