読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

現代の経営(上)(P.F.ドラッカー)

『現代の経営(上)』(P.F.ドラッカー)(〇)(3回目)

 「現代の~」とはいっても出版は1954年。ドラッカー曰く、「私のマネジメントに関するその後の著作のいくつかは、本書を発展させたものである」という、マネジメントの原点となる本書。半世紀以上前の著書だとは思えないほど、今の時代へ山ほどの示唆がある名著です。読むのは、今回で3回目になりますが、毎回、線の数が増えていく、そして、また時間を置いて読みたくなる、まさに殿堂入りの一冊です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇第1章 マネジメントの役割

 マネジメントとは、事業に命を吹き込むダイナミックな存在。そのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産は為されない。彼らの能力と仕事ぶりが事業の成功さらには事業の存続さえ左右する。マネジメントこそ、企業が持ちうる唯一の意味のある強み。

 

②第2章 マネジメントの仕事

 マネジメントは、あらゆる意思決定と行動において、経済的な成果を第一義とする。企業のマネジメントは、経済的な成果をあげることによってのみ、その存在と権威が正当化される。

①第一の機能:事業をマネジメントすること

②第二の機能:経営管理者をマネジメントすること

③第三の機能:人と仕事をマネジメントすること

 

③第3章 マネジメントの挑戦

 今日のマネジメントは、オートメーションなる一つの差し迫った産業革命により、その能力を試されるとともに重大な課題に直面している。最初にオートメーションを理解し組織的に適用する国が、その生産性と富において世界のリーダー的な地位に立つことは疑いない。

 

④第4章 シアーズ物語

・企業は人が創造し、人がマネジメントする。企業は人以外の力がマネジメンするものではない。

事業は利益の観点からは定義も説明もできない。

 

⑤第5章 事業とは何か

 企業の目的として有効な定義は「顧客の創造」一つしかない。企業の行為が人の欲求を有効需要に変えたとき、初めて顧客が生まれ市場が生まれる。企業が何かを決定するのは顧客。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが重要。企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーション

 

⑥第6章 われわれの事業は何か

 「われわれの事業は何か」という問いに対する答えは、事業の外部、すなわち顧客や市場の立場から事業を見ることによってのみ得られる。マネジメントは、消費者の心理を憶測するのではなく、消費者自身から率直な答えを得るよう意識して努力しなければならない。「われわれの事業は何か」という問いを発し、正しく答えることこそ、トップマネジメントの第一の責務である。

 

⑦第7章 事業の目標

・なすべきことを明らかにする

・なすべきことをなしたか否かを明らかにする

・いかになすべきかを明らかにする

・諸々の意思決定の妥当性を明らかにする

・活動の改善の方法を明らかにする

 

⑧第8章 明日を予期するための手法

・循環のいかなる段階にあるかを考えることなく、単に経済は常に変動するものであると仮定すること

・すでに起こってはいるが、経済への影響がまだ現われていない事象に基づいて意思決定を行うこと

・予測に伴うリスクを小さくするための手法によって補う(趨勢分析)

 

⑨第9章 生産の原理

・個別生産

 個別生産の原理は、産活動をいくつかの同質的な生産段階に組織すること。個別生産は、機能別技能ではなく段階別作業によって構成される。マネジメントにとっての第一の仕事は注文をとること。個別生産は技能に優れた人を必要とする。

・大量生産

 大量生産の基本は均一な製品の生産にあるのではない。多様な製品に組み立てる均一な部品の生産にある。製品の多様性は製造ではなく組立によって実現される。マネジメントにとっての第一の仕事は、流通チャネルをつくり、顧客を教育すること。大量生産は分析的な思考、日程管理、計画に経験のあるマネジメントを必要とする。

・プロセス生産

 マネジメントにとっての第一の仕事は、市場を創造し維持し、拡大することであり、さらには新しい市場を見つけること。プロセス生産は、事業を全体として見る能力を持ち、かつ意思決定に優れたマネジメントを必要とする。

 

⑩第10章 フォード物語

 ヘンリー・フォードの失敗の根因は、10億ドル規模の巨大企業を経営管理者抜きでマネジメントしようとしたところにあった。フォードには、販売部門以外に経営管理者がほとんどいなかった。

 

⑪第11章 自己管理による目標管理

 事業が成果をあげるには、一つの仕事を事業全体の目標に向けなければならない。仕事は全体の成功に焦点を合わさなければならない。マネジメントのセミナーでよく取り上げられる3人の石工の話。一人は「これで食べている」、一人は「国で一番の仕事をしている」、もう一人は「協会を建てている」と答える。問題は第二の男。一流の腕は確かに重視しなければならないが、それは常に全体のニーズとの関連に置いてでなければならない。特定の機能だけを担当する経営管理者の数は最小限に抑え、事業全体の成果に直接の責任を持つ経営管理者を増やすことが必要。

 

⑫第12章 経営管理者は何をなすべきか

経営管理者の仕事には常に実体がなければならない。組織の成功に対する目に見える貢献、しかも可能な限り測定できる貢献をなさなければならない。

経営管理者の仕事は、可能な限り範囲の広いものでなければならない。その権限も大きいものでなければならない。

経営管理者は上司によってではなく、仕事の目標によって方向づけされなければならない。

 

⑬第13章 組織の文化

・「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」(鉄鋼王:アンドリュー・カーネギー

・「重要なことは、できないことではなく、できることである」(身体障害者雇用促進キャンペーンのスローガン)

・「凡人をして非凡なことをなさしめる」(ベヴァリッジ卿)

 

⑭第14章 CEOと取締役会

 「ボトルネックはボトルのトップにある」。いかなる組織といえども、そのトップマネジメントを超えて優れたものとはなりえない

 

⑮第15章 経営管理者の育成

 つまるところ、経営管理者の育成とは自己啓発である。そもそも組織が人の育成に責任を持つということほど、ばかげた話はない。その責任は本人とその能力、努力にかかっている。組織には人の自己啓発の努力に変わるべき義務もなければ能力もない。経営管理者は、部下の自己啓発の努力を生産的なものにするために、彼らの焦点を正しく合わさせ、正しく方向づけさせ、正しく実行させる責任を持つ。あらゆる経営管理者にこの部下の自己啓発に関わる挑戦を課す必要がある。

 

 これで半分。下巻は下巻でまとめたいと思います。1章当たり平均20頁に満たない文量ですが、考えさせられる要素が詰まっています。

ドラッカー名著集2 現代の経営[上]

ドラッカー名著集2 現代の経営[上]

 

f:id:mbabooks:20160508173253j:plain