『WHYから始めよ!』(サイモン・シネック)
少し鍛錬すれば、どんなリーダーや組織でも、組織の内外の人たちに感銘を与え、やる気を起こさせ、アイデアやビジョンを発展させる手助けができる。本書は、人を奮起させ感激させ、鼓舞することに成功した個人や組織が取ってきた成功パターンは、Whatでもなく、Howでもなく、「Why」から出発していることを解き明かしています。発想はいたってシンプル。ちょっと気にかけておくだけで、言動・行動が変化する一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇「操作」から忠誠心は生まれない
操作はごくありふれた戦略。効果はあるが、長続きしない。
・価格戦略:価格競争は麻薬に手を出すようなもの。断つのが難しい。
・プロモーション:キャッシュバック、恐怖心を利用、上昇志向のメッセージ、仲間集団からのプレッシャー
・目新しさ(自称イノベーション):「目新しさ」と「イノベーション」の混同。
〇ゴールデンサークル(円の内側から「Why」→「How」→「What」の3つの円)
ゴールデンサークルは、人間の行動には予測可能なものがあり、そこには理法があることを教えている。
・What:企業や組織は、自分のWhat(していること)が分かっている。
・How:自分がしていることのHow(手法)を知っている人や企業も中にはある。
・Why:自分が今していることをしているWhy(理由)を名言できる人は少ない。
大半の組織や人間が、円の外側から内側に向かう順番で、つまりWhat→How→Whyで考え、行動し、コミュニケーションをとる。しかし、傑出した企業やリーダーは、円の内側から外側(Why→How→What)の順に考え、行動し、コミュニケーションをとる。
〇人々はWhyを買う。
人々はWhatを買うのではなく、Whyを買う。アップルのメッセージはWhyから始まる。アップルの製品はWhatではなくWhy。彼らの製品は信念に命を吹き込んだもの。企業のWhatは表面的な要因であるが、Whyはもっと深い。
〇Whatで自分を定義してきた企業
アメリカの鉄道会社が衰退したのは、「わが社は鉄道会社」と認識していたから。もし、「自分たちは大量輸送ビジネスに関わっている」と認識していたらどうなっただろうか。Whatを定義してきた多くの企業や産業は、長きにわたって生き残っているだろうか。あまりにも長い間同じ手法をとってくると、新たなテクノロジーに対抗したり、新たな物の見方を獲得したりするのが、ますます辛い任務になる。新聞・出版・テレビ業界もしかり。
〇生物学的視点
どこかに帰属したいという願望は人間が持つ普遍的なもの。どこかの一員になるためなら苦労を厭わない。会社が自分たちのWhyを、つまり自分たちが信じているものについて語り、消費者もその信条に共鳴すれば、私たちは苦労をしてでも、その会社の製品やブランドを自分の生活に取り入れようとする。Whyを曖昧にしている企業は、低価格、特長の数、サービスや製品の品質といった「操作」で差異化をはかり、勝負せざるを得なくなる。
〇Howの訓練
Whyを明確にしたら次はHow。指針を明確にするには、「名詞」ではなく「動詞」を使う。「誠実」「実直」「イノベーション」「コミュニケーション」では、はっきり説明し人々を団結させるのは不可能に近い。「誠実」ではなく、「つねに正しいことをしよう」、「イノベーション」ではなく、「問題を違う角度から眺めよう」と動詞で表現すること。
〇終始一貫したWhatを貫く
Howはその信条を理解するために起こす行動。Whatはそうした行動の結果。
ある点を超えれば、世界が一気に大きく変わる転換点のこと。例えば、初期採用者と初期多数派の間に存在するキャズム。この溝を渡すのは難しいが、Whyさえ分かっていれば、その溝を渡るのは難しいことではない。
終始一貫して、Why、How、Whatの関係性について、企業や著名なリーダーを例にあげて解説されています。企業理念の浸透と顧客コミュニケーションについて、表現を変えて説明しているとも言えます。要点はシンプル、実行は難しいというテーマです。
- 作者: サイモン・シネック,栗木さつき
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/01/25
- メディア: 単行本
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