第九巻「賢帝の世紀」は、トライアヌス(第十三代皇帝)~志向の皇帝~、ハドリアヌス(第十四代皇帝)~ローマの平和と帝国の永遠~、アントニヌス・ピウス(第十五代皇帝)~秩序の支配する平穏~の3名の軌跡。
紀元98年~161年までの63年間。賢帝とは何であったのか、どのような理由でローマ人は賢帝と賞賛したのか。「五賢帝」と呼んだのは後生だが、同時代のローマ人でも「黄金の世紀」と呼んだ時代です。
(第九巻のポイント‥本書より)
〇主な年表
・98年:ネルヴァが死去し、ケルン滞在中のトライアヌス、第十三代皇帝に。
・106年:凱旋。ダキアをローマの属州とする。
・112年:トライアヌスのフォールム完成。
・113年:パルティア遠征に発つ。
・117年:トライアヌス死去(63歳)、ハドリアヌス第十四代皇帝に即位。
・121年:ハドリアヌス、ガリアに向けてローマを発つ。
・125年:ギリシアを発ち、シチリア訪問後、ローマへ帰還。
・126年:2度目の巡業に出発。アフリカへ向かう。
・128年:3度目の巡業に出発(東方視察)。
・138年:ハドリアヌス死去(62歳)、アントニヌス・ピウス第十五代皇帝に即位。
・145年:神君ハドリアヌス神殿完成。
・161年:アントニヌス・ピウス死去(75歳)。
〇印象に残った言葉など
・ローマの属州統治
①税率を上げないことを根本前提にする。
②インフラを整備することで属州の経済が活性化し、それによって属州民の生活水準が向上するように努める。
③地方分権の徹底。
・組織とは、それ自体はいくら良くつくられていても、その機能を決めるのは人間である。
・リーダーに不可欠な3条件
①力量
②幸運
③時代への適合性