MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ローマ人の物語Ⅻ(塩野七生)

ローマ人の物語Ⅻ』(塩野七生)(〇)

 第十二巻「迷走する帝国」は、3世紀のローマ帝国の混乱期を描いた一冊。2世紀は混乱の1年間を除けば6人の皇帝(うち5人は病死)で統治したのに対し、3世紀(正確には211~284年の73年間)は22人により統治されています。統治期間が短いだけでなく、皇帝の死因は、謀殺13名、自殺2名、戦死2名などで、病死はたったの2名のみ。死ぬために皇帝になるような時代。北に東に異民族の侵入を受け、大混乱の時代を迎えたローマ帝国の迷走とは。

   

(第十二巻のポイント‥本書より)
〇主な年表

・212年:カラカラ、ゲタと共に皇帝即位。

・217年:カラカラ暗殺(29歳)。近衛軍団長官マクリヌス皇帝即位。

・218年:マクリヌス殺害(53歳)。ヘラガバルス皇帝即位。

・222年:ヘラガバルス暗殺(18歳)。アレクサンデル・セヴェルス皇帝即位。

・235年:セヴェルス殺害(26歳)。マクシミヌス皇帝推挙。

・238年:マクシミヌス殺害。ゴルディアヌス親子が共同皇帝に即位するも1カ月持たず死去。ゴルディアヌス3世皇帝即位。

・244年:ゴルディアヌス3世暗殺(19歳)。フィリップス皇帝即位。

・249年:フィリップス自死。デキウス皇帝即位。

・251年:デキウス戦死。トレボニアヌス皇帝推挙。

・253年:トレボニアヌス戦死。ヴァレリアヌス皇帝即位。

・260年:ヴァレリアヌスペルシア軍に捕らえられる。共同皇帝の息子ガリエヌスが皇位承継。

・268年:ガリエヌス、クーデターで殺害される。クラウディウス皇帝即位。

・270年:クラウディウス病死。アウレリアヌス皇帝推挙。

・275年:アウレリアヌス、秘書の謀略により殺害。タキトゥスを皇帝に指名。

・276年:タキトゥス、シリアに向かう途中で死去。プロブス皇帝推挙。

・282年:プロブス殺害(50歳)。カルス皇帝推挙。長男カリヌス、次男ヌメリアヌスを共同皇帝に指名。

・283年:カルス、落雷で死去。ヌメリアヌス暗殺。

・284年:カリヌス暗殺。ディオクレティアヌス皇帝推挙。

 

〇印象に残った言葉など

・歴史は、現象としては繰り返さない。だが、この現象に際して露わになる人間心理ならば繰り返す。それ故、人間の心理への深く鋭い洞察と、自分の体験していないことでも理解するのに欠かせない想像力と感受性、このうち一つでも欠ければ、かつては成功した例も、失敗例になり得る。

・芝居を打つからには、一瞬で決めてしまわねばならない。懇々と説得したのでは解決できなくなったから芝居を打ったのであって、このような場合に最も不適切なことは、時間を掛けることである。

・平和は最上の価値だが、それに慣れ過ぎると平和を失うことになりかねない。

ローマ人の物語 (12) 迷走する帝国

ローマ人の物語 (12) 迷走する帝国

 

 f:id:mbabooks:20160627215614j:plain