「なぜ」よりも「どのように」衰亡していったのか、に重点を置いて書かれた最終巻。「一国の歴史も一人の人間の生涯に似ている。徹底的に分かりたいと思えば、その人の誕生から死までをたどるしかないという点で」という、帯に取り上げられた本文の引用が象徴するように、一国の最後を掘り下げた一冊です。
(第十五巻のポイント‥本書より)...
〇主な年表
・395年:アラリックをリーダーとする西ゴート族がバルカン地方に侵入。
・396年:アラリック、ギリシア全土にまで略奪の手を広げる。
・397年:スティリコの西ローマ軍、アラリックを撃退。
・401年:アラリック、西ゴート族を連れてイタリア北部に侵入。
・408年:アラリック率いる西ゴート族、イタリア侵攻、ローマを封鎖。
・410年:西ゴート族、ローマ市内に侵入(5日間のローマ劫掠)。アラリック南イタリアに向かう途中で死去。
・430年:北アフリカの主要都市ヒッポ・レジウス、ヴァンダル族の下に陥落。
・439年:カルタゴ陥落。北アフリカ全域がヴァンダル族の支配下に。
・451年:アッティラ率いるフン族ガリアに侵入。秋、イタリアへ侵攻。
・453年:アッティラ死去。
・455年:ヴァンダル族、イタリアに上陸、オスティア制圧。14日間のローマの劫掠。
・476年:【西ローマ帝国滅亡】蛮族出身の将軍オドアケル反旗を翻し、皇帝に勝利。
・527年:ユスティニアヌス、東ローマ帝国の共同皇帝に任命。
・533年:ユスティニアヌス、旧西ローマ帝国の領土再興を開始。
・552年:ユスティニアヌス、ナルセスをイタリア派遣。
・553年:ゴート族がイタリアから一層される。
・568年:ロンゴバルド族、南下しイタリアを手中に。
・636年:シリアがイスラム化
・642年:エジプロがイスラム化
・1453年:【東ローマ帝国滅亡】コンスタンティノープ、オスマントルコの攻撃により陥落
〇印象に残ったところ
15巻を読み終えて思うのは、古代ローマの誕生から2800年近く、ローマ帝国誕生から約2000年経っても、人間の欲望や行動って変わらないんだなということ。近年の急速な変化は人類の歴史からみればほんの一瞬の中で起こっていることであり、脈々と流れてきたこれまでの時間の中で本能的に染みついた部分は簡単には変わらない。つまり、「人間が本能的に持っていることは何か」ということを考えるためにも、歴史を掘り下げて学ぶことには、とても意味があるように思いました。
全15巻の中で、最も印象に残った言葉は、これかな。
「いかに悪い結果に繋がったとされる事例でも、それが始められた当時にまで遡れば、善き意志から発していたのであった」(ユリウス・カエサル)